続きまして第32回目は、
西オーストラリア軍団の一員、
「白」という意味の学名が表す通りに、
ユーカリ中でもトップクラスに葉の白い、
「ユーカリ界の白い宝石」ユーカリ・アルビダです。
◎ユーカリ・アルビダ
【学名:Eucalyptus albida】
【英名:White-leaved Mallee】
学名のalbidaの意味は「白」です。
また英名もWhite-leaved Malleeです。
これらの名前が表すように
albidaはユーカリ中でも随一の銀葉を持っています。
私が他に育てているユーカリで
albidaに対抗できるほどの葉の白さをもつものは
macrocarpa/gillii/glaucescensくらいです。
また、比較的小ぶりでコンパクトにまとまりやすく、
わき芽もたくさん出すという性質のため、
自慢の白葉を活かした美しい樹形が容易に形作られます。
葉の形状は丸くて先の尖った
ティアドロップ(涙)型をしており、
明るいエメラルド色になるか強く白い粉を吹きます。
このalbidaの美しさには私も早い段階で目をつけていましたが、
最近では、ネット等で販売されているのを良く見かけます。
日本で流通するのはとても良いことなのですが、
もし購入される場合には苗のサイズにご注意ください。
私が以前見つけたものでは、
数センチの幼苗で売られているものがいくつかありました。
これはちょっと酷いな、、、と思いました。
これはユーカリ全般に言えることですが、
ユーカリはタネを播いてからの発芽率は比較的上々です。
例えばalbidaであれば発芽率は80%を超えると思います。
ところがそこから10cmを超え、
25cm程度の樹高に至るまでに、
多くの苗が淘汰されていくものです。
特に日本の環境に合っているとはいいがたい
西オーストラリアのユーカリについては、
25cmまでの生存率がプロでも50%を切るものがあります。
ぶっちゃけ数センチの苗であれば、
淘汰される前の段階といえるので、
ちょっと購入は控えた方がいいと思います><;
また、幼苗の間の栽培難易度は比較的高く、
ちょっと初心者には無理があるように思います。
最低15cm以上、安心を求めるなら25cm以上のサイズで
ご購入されることをオススメします。
ちなみにalbidaなどは横に広がりやすい品種なので、
樹高は真っ直ぐ上に伸ばした時点でのサイズでOKです。
それでも売れ行きは上々みたいで、
albida関連でこのブログを訪問される方も多くいます。
そんな人気のalbidaですが、
現地では3m程度と非常に小型の灌木状に育ちます。
また、その樹皮はユーカリ特有の形状で、
ねじれて、どんどん剥けていくタイプのものです。
ところで、上の樹木の写真を見て気づきませんか?
そう、葉が白色ではなく、濃い緑色をしています。
実はalbidaの白い丸葉は小さい間限定の葉で、
大きく育ってからの末葉は、
寧ろ深い緑色が特徴になるほどの細葉になります。
これはこれで切り枝として人気があるようです。
小ぶりで美しいalbidaですが、
育てていく上で大きなネックが二つあります。
一つはこの葉の白さです。
これだけ葉が白いということは
強力な日焼け止めをもっているということですから、
終日直射日光がガンガンに必要となります。
半日陰以下の環境で育てると
いつまで経っても葉が大きくならずに
貧相なまま育ち、いつかは枯れてしまいます。
実際に販売業者に聞いた話ですが、
日光不足でうまく育たないという
購入者からのクレームは結構多いようです。
そして、次のネックですが、
これは最もクレームの多い原因となっているようです。
albidaはかなり低木なため、樹高の低い間から、
深緑色の細長い末葉が生え出す可能性があります。
私の知っている情報では、
わずか1m程度の樹高で末葉が生え始めました。
逆に1m程度の樹高で花が咲いたという話も聞いています。
このユーカリの幼葉と末葉の関係ですが、
実際かなりアバウトで個体差に大きく左右されます。
例えば1mから末葉が出るものもあれば、
どれだけ大きくなっても末葉の出ないものがあったり、
一旦末葉が出ても、剪定すれば幼葉がまた生え出したり、
もう二度と幼葉が出なくなってしまったりなど様々です。
とにかくalbida自慢の白く美しい幼葉を維持するためには、
かなり小まめな剪定や摘芯が必要になるわけです。
albidaを購入して育ててみようという方は、
この特徴について良く理解しておいてくださいね。
albidaの生息地は西オーストラリア南西部の内陸です。
西オーストラリア軍団の中では、比較的育てやすい方ですが、
かなり強烈な日光が終日必要になります。
kruseanaやcrucisなどと似たような感じで、
一般的な西オーストラリアのユーカリと同じ育て方をします。
乾燥力の強い用土で乾燥気味に管理します。
orbifoliaやwebsteriana、kruseanaほどではありませんが、
crucisよりもさらに水を必要としません。
病害虫の影響は比較的受けにくい方で、
kruseanaよりは過湿耐性があり、
crucisよりは過湿耐性が弱いといった感じです。
ちまたで販売されているalbidaの情報を見ると、
生育はかなりゆっくりとありますが、
西オーストラリアのユーカリの中では、
決して遅い方ではなく、平均的な成長力です。
日光ガンガンで乾燥力の強い用土という
albidaが好む環境を作ることができれば、
一年以内にタネ播きから60cm程度までは軽く育ちます。
どうしても生育が遅いという人は
栽培環境があまり合っていないというサインです。
暑い真夏もコンスタントに成長を続けますが、
盛夏を過ぎて、少し涼しくなった秋に大きく成長します。
恐らく、秋の成長のポイントは
夏に十分な日光を浴びていることだと思います。
耐寒性については難ありの西オーストラリア軍団ですが、
その中ではかなり強く、-8℃程度までは頑張るようです。
今年はわずか10cm程度のalbidaの苗を
寒風の吹き荒れる場所に放置していました。
何度も用土がカチカチに凍り、霜柱も酷かったですが、
大した痛みもなく、元気に育ち続けています。
その放置された苗というのが、
ズバリ!この記事の写真の苗です!
あまりに幼いうちは、
少し寒風を避けた方が良いかもしれませんが、
関東以西の暖地では容易に野外越冬ができると思います。
冬季には新芽などが紫色に紅葉します。
気になるalbidaの香りですが、
少し甘みの強いミント系の香りが漂います。
香りは強くもなく、弱くもないといった感じです。
とても爽やかで良い香りで、
枝を切ったりしたときなどに良く香ります。
香りを楽しむユーカリとしての利用もギリギリ可能です。
albidaの売り文句として、
「こんなに美しい植物があったなんて知らなかった」
なんて良く書かれていますが、
albidaはこの言葉に偽りなしと思うほどに美しいユーカリです。
ただ、gunniiやcinereaなどの
良く売られているユーカリに比べると、
性質が大きく異なるため、その性質を熟知していないと、
少々手のかかるユーカリではあります。
kruseanaやmacrocarpaなどと同様に、
西オーストラリアのユーカリに慣れるまでは、
少しマメな水分管理と毎日のチェックが必要かと思います。
それでも育ててみたい方には、
素晴らしい農場をご紹介できますので、
是非声をかけてくださいね。
albidaの白葉を是非一度ご堪能ください♪
------------------------------
<栽培難易度:C>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★
要水分:★★
耐過湿:★★
耐水切:★★★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい