続きまして第38回目は、
Eucalyptus gunniiの高山生息種で全く見分けがつかず
ほぼgunniiといってしまっても良いくらいの
ユーカリ・アーチェリです。
◎ユーカリ・アーチェリ
【学名:Eucalyptus archeri】
【英名:Alpine Cider Gum】
このarcheriですが、当ブログでは
gunniiの亜種、Eucalyptus gunnii ssp. archeri
として紹介してきましたが、
この記事では敢えてEucalyptus archeriと
固有の品種として紹介させていただきます。
英名からもわかるように
比較的平地の湿地帯に生息するgunniiに対して、
archeriは1100m以上のタスマニアの高山に自生しています。
要するにgunniiの高山生息種というわけです。
とはいえ、実際にはgunniiと
見た目による差はほぼ皆無です。
色々、特徴みたいなものはありますが、
個体差がその特徴を上回ってしまうため、
これはarcheriという確定的な特徴はありません。
ただ、通常のssp. gunniiやssp. divaricataは、
20~30mクラスの立派な木立ちの樹木へと育つのに対して、
このarcheriはMallee(灌木型)で、
樹高も10m程度までとなっているようです。
そもそもその分類についても非常に曖昧であり、
またオーストラリア各所ではgunniiの亜種間での
勝手な自然交配も起こってしまっているため、
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Tree(木立型)= gunnii
Mallee(灌木型)= archeri
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と考えるのが現在では一般的なようです。
gunniiには大きく分けて3つの亜種が存在します。
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●Eucalyptus gunnii ssp. gunnii(グニー原種)
●Eucalyptus gunnii ssp. archeri(タスマニア高山種)
●Eucalyptus gunnii ssp. divaricata(白銀色の絶滅危惧種)
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ところが日本ではこの3種を
きっちりと分類して販売していることはまずありません。
私が様々な販売店等で見て調べてみた結果、
全ての亜種がごちゃまぜになっているのが現状です。
>>>詳しい識別についてはこちらの記事をご覧ください。
本当にパッと見では区別がつきにくい...ではなく
全く区別をつけることができません><;
このように亜種間で区別がつきにくい
ということはユーカリでは良くあることなのですが、
こんなにも差がないことには本当にびっくりします。
あくまでも主観で、個体差の範囲かもしれませんが、
ssp. gunniiに比べると、幾分か葉は小柄です。
また、少し白銀色は控えめになっていると思います。
またMallee型だからでしょうか。
通常のgunniiよりもたくさん脇芽を出しやすい
性質を持っているように思います。
一応、archeriの公的な特徴としては、
葉は丸みを帯びながら、葉先が尖りやすく、
新芽は白銀色をしているのですが、
だんだん下葉になるごとに、緑色が濃くなるようです。
茎のザラザラは成長後も長く残りやすく、
茎は丸型もあるが、四角型になりやすくなっています。
茎の色は比較的白みを帯びにくく、
緑色のままや赤色の茎のままが多くなります。
また、対になった二枚の葉の
茎との接点同士は重なりにくくなっており、
葉が対にならずに交互に生えることも多い、
といった傾向があるようです。
また、蕾や実が白く粉を吹くことはなく、
実の形状はカップ型になります。
そして前述のMallee型(灌木型)である
というところです。
archeriは、gunniiに比べると、
より乾燥に強く、過湿に弱くなっていますが、
あくまでもgunniiと比べたらです。
ユーカリ中ではかなり水が好きな方で、
根腐れよりも真夏の水切れを
心配した方が良いような感じです。
archeriはユーカリ中でも過湿に強い方で、
湿潤を好む品種のため、
一般的な観葉植物と同様の管理で
簡単にうまく育てることができます。
また、移植を嫌うユーカリの中でも、
比較的移植に耐えることのできる品種です。
成長力はなかなか激しい方ですが、
gunniiと比べてしまうと、
元々の樹高が低いということもあって、
少し控え目な成長力であるといえます。
ただし、archeriの耐寒性はユーカリ中でもぴか一で、
最強クラスのgunniiをさらに上回ります。
詳しい限界は不明ですが、
-20℃を上回るような環境下でも生き残るようです。
日本の暖地では葉が傷むことさえなく、
寧ろ夏の高温多湿の方が心配になるくらいです。
日本の暑さには弱いとまではいきませんが、
夏の成長は控えめで、あまり得意ではないため、
夏季の過湿による根の蒸れには少し気をつけてください。
気になるarcheriの香りは、
基本的にはgunniiとほとんど大差はないのですが、
ハッカ系の香りが強いgunniiに比べると、
柑橘系とシネオールの香りが少し強くなっています。
また、gunniiよりも少し精油の量は多めのようです。
とはいえ、香りを楽しむには少し心もとない感じです。
とにかくarcheriは、gunniiと並んで非常に育てやすく、
初心者向けで育てやすいユーカリの代表格です。
その割に、見た目は繊細で美しいので、
何かユーカリを育てたいという方には
gunniiと共にとてもオススメのユーカリになります。
あなたはgunniiを選びますか?
それともarcheriを選びますか?
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<栽培難易度:A>
香良さ:★★★
香強さ:★★
成長力:★★★
要水分:★★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★
耐日陰:★★★★
耐移植:★★★★
耐寒性:★★★★★
耐暑性:★★
耐病虫:★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい
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