ユーカリの薫るベランダで[Mobile版]
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ユーカリ育成ブログです。タネを輸入して150種以上のユーカリを育てています。 By eucalyptus_k
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【ユーカリ紹介-59】ユーカリ・テトラプテラ (Eucalyptus tetraptera)
コメント(5件) 2013/01/28 16:58
カテゴリ:ユーカリ紹介

続きまして第59回目は
ユーカリ中で最大の大葉と
四角形の非常に変わった花を咲かせる
西AZ出身の低木ユーカリ、
ユーカリ・テトラプテラです。

◎ユーカリ・テトラプテラ
【学名:Eucalyptus tetraptera】
【英名:Square-fruited Mallee】
fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像1

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像2

このtetrapteraは、とても大きな2つの特徴を持ち、
日本では、知る人ぞ知るマイナーなユーカリですが、
海外の栽培者には、幅広く人気のあるメジャーなユーカリです。

そのため、海外のタネ屋を覘いてみると、
必ずといってよいほど、タネの在庫があります。

まず、tetrapteraの一番大きな特徴は、
そのとても変わった形状の花でしょう。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像3

見ていただくと、その異様な形状に
びっくりされるのではないでしょうか?

厳密には大きな赤い角ばったものは
花梗(花の付いている部分)で、
実際の花は先の毛のようなピンクの部分です。

tetrapteraは、赤い角ばった花梗から、
ピンクの花を咲かせるユーカリ
ということになります。

もちろん、tetrapteraという学名も
その花の形状が元になっており、
4つのウイングという意味になります。

tetrapteraのもう一つの大きな特徴は、
ユーカリ中で最も大きな葉を持つというところです。

我が家のtetrapteraは、
まだ2年目で樹高50cm程度といったところですが、
それでもとても大きな葉を付けています。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像4

試しにその葉の長さを計ってみると

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像5

何と20cmもあることがわかります。

tetrapteraの葉では20cmなんてまだまだ序の口で、
さらに大きくなることがわかっています。

最大のサイズは29cm程度ということなので、
最終的には30cm近い葉を付けることになります。

この葉はとても分厚く、しっかりとしています。
また、散った葉も硬く、長くその形状を保ちます。

そのため、現地の子供はtetrapteraの葉を、
なんと! 本のしおり代わりに使うそうです。

試しにしおり代わりにしてみました。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像6

確かにこれならしおりとして
問題なく使用できると実感しました。

そんな大きな葉を支えているわけですから、
先端の方でも、その茎はとても丈夫です。
簡単に手で折れるような硬さではありません。

先の方の茎は少し突起がありザラザラしています。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像7

これはかなり先端の方ですが、
かなりの太さであることがわかります。

これが段々と下の方になるにしたがって、
突起はなくなり、ツルっとした質感になります。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像8

このあたりになってくると、
支柱の竹と同じくらいの太さになっており、
強風でもびくともしない硬さをもっています。

ただし鉢植え栽培の場合は、
この硬さと葉の大きさが仇となり、
転倒につながることもあるので、
十分に注意が必要です。

また我が家では、早いうちから支柱で強制して、
真っ直ぐに伸びるようにしていますが、
そのまま支柱なしで育てると、
なかなか真っ直ぐには伸びてくれません。

またとても太陽が好きな性質を持っているため、
しきりに太陽の方を向いて曲がります。

次に新芽の部分を見てみましょう。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像9

とても立派な新芽です。
その他のユーカリと比べると、
新芽も硬くしっかりとしています。

後でも述べますが、
tetrapteraはとても湿気を嫌います。
新芽の先が茶色くなっているのは、過湿だったり、
空中湿度が高すぎたりすると、起こる症状です。

我が家では、どうしても、湿度の高い季節には、
こういった症状が発生しますが、
暑い真夏などの成長期には、全くなくなります。

tetrapteraの生息地ですが、
最も我儘なユーカリが数多く生息している、
オーストラリア南西の沿岸部で、
エスペランスの近郊です。

lehmannii/tetragona/forrestianaなどが
生息している地域とほぼ同じになります。

tetrapteraはユーカリの中でも、
かなり小型の部類になります。

地下水が豊富で、温暖な場所であれば、
4m程度の樹高にまで育つようですが、
大概は2m前後までの樹高で、
ブッシュ状に横に広がることが多いようです。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像10

低木ユーカリのため、1m程度の樹高でも開花が見込めます。
ただtetrapteraはとても成長の遅いユーカリなので、
1m程度の樹高で開花ともなると、
最低でも3年はかかるものと思われます。

こんな特徴的なtetrapteraの育て方についてですが、
激しい直射日光と強乾燥力の用土で育てるという
西AZのユーカリの典型的な育て方をします。

また、その中でも、過湿や高い空中湿度に弱く、
海外でメジャーなユーカリであるわりには、
なかなかに難易度の高いユーカリです。

このように葉の大きなユーカリは、
非常に水をたくさん欲する傾向が強いのですが、
tetrapteraは他の西AZのユーカリと比べても、
吸水量はかなり少なめで、
ユーカリ中でも最も水を必要としないユーカリ
の一つに数えられるでしょう。

非常に乾燥を好む西AZのユーカリであっても、
過湿にうるさいmacrocarpaであったとしても、
鉢植え栽培で、真夏に終日直射日光を当てている場合には、
ほぼ間違いなく、毎日1回の水遣りが必要になるものです。

ところが、tetrapteraはギリギリですが、
2日に1回の水遣りでも耐えられるレベルです。

また、冬になると、ほぼ断水に近い管理になります。

我が家のtetrapteraは日照量を優先する代わりに、
土砂降りの場合には、少し雨のしぶきがかかる場所に置いています。
とはいっても、屋根がかなりせり出していますし、
雨が直でかかることは全くあり得ない場所です。

その場所で、実は、まだ12月になってから、
一度も水を与えていません。

それでも、スリット鉢の底から見える土は
常に湿っているような状態で、
たまに降る雨の湿気やしぶきだけで、
ほぼ2ヶ月、全く水を与えずに生きています。

同じ場所には、macrocarparhodanthaもありますが、
さすがにこれらのユーカリであっても、
雨の湿気だけで2ヶ月はちょっと無理です。

これらの結果から、特に冬季は、
どれほど水の要らないユーカリであるかがわかります。
まさに、多肉植物並みと言っても過言ではありません。

ポイントとしては、まず日光です。
必要な日光レベルは最高レベルです。

色々と実験をしてみましたが、
半日陰程度の場所では、非常に生育が悪くなり、
いつまでも小さな葉のままで徒長して、
激しいうどんこ病の被害に悩まされます。

そして次には、最高レベルの乾燥力の
用土を使用して育てた方が良いでしょう。

tetrapteraの、特に冬季に水を吸わない性質を考えると、
余程乾燥力のある用土で育てていない限りは、
冬季に雨ざらしの場所で育てるのは難しいかもしれません。

macrocarpaなどが元気に育っている、
雨の当たる実家の庭でも、冬季の長雨で、
tetrapteraが枯れてしまいました。

ただ、梅雨時期には、
kruseana程のデリケートさはないので、
恐らく、気温の高さと湿度のバランス
大きなポイントとなっているように思います。

とにかく、日本で普通の植物のように育てるには
少々厄介なユーカリであると言えるかもしれません。

低木Malleeの例に漏れず、
tetrapteraの成長はとても緩慢です。
環境が余程合う場合は別なのかもしれませんが、
良くても、大体1年で30~40cmくらいの成長速度です。

また成長は、春の暖かい季節にも進みますが、
梅雨明け後の最も暑くなる季節がメインになります。

しっかりと日光に当てた株には
うどんこ病ハダニの被害が出ることはありませんが、
tetrapteraは精油分のとても少ないユーカリなので、
ハキリバチが葉を頻繁に千切っていったり、
尺取虫などの食害に合うこともあるようです。

気になるtetrapteraの耐寒性ですが、
残念ながらあまり強い方ではありません。

大体-5℃程度までと言われていますが、
小さな苗の間は、簡易温室を使用するなど、
防寒対策が必要になってきます。

ただ、冬季は特に過湿を嫌う品種ですから、
間違っても室内管理は行わないでください。

我が家の50cmを超えて、
大きな葉を付けたtetrapteraでも、
例年は、激しく霜焼けの症状が出るので、
念のため簡易温室に退避しています。

ところが今年は、敢えて、
寒風吹きさらしの場所に放置してみました。
断水に近い管理をしていることが良いのでしょうか、
葉は赤紫色に紅葉していますが、
さほど大きな葉痛みは発生していません。

ただ、30cm以下の小さな苗が、
冬に屋外放置で全滅した経緯もありますので、
慣れない方にはやはり防寒対策をオススメします。

一度簡易温室内で水を遣り過ぎて、
温室内でも、用土が軽く凍結したことがあるのですが、
そのときは、もうダメかと思うくらいに傷みました。

そもそも、用土が凍結するような
水分管理には問題があるということです。

tetrapteraは葉が分厚く大きいので、
水切れのサインがとてもわかりやすいです。

冬季管理に自信のない人は、
慣れるまで、毎日欠かさずチェックして、
葉が犬の耳のようにベロンと垂れてから、
鉢底を軽く水につけるというような
水遣りで対応するのが良いかもしれません。

tetrapteraの香りについてですが、
とても残念なことに、全くといっていいほど香りません。
今まで何度か散ってすぐの葉を砕いて香ってみましたが、
torquataなどと同じような薄い花の香り系だろう
ということだけはわかりましたが、詳しくは掴み切れていません。

それほどまでに香りのしないユーカリなのです。
もちろんながら、香りを楽しむという要素は皆無なので、
花を楽しむユーカリであるとご理解ください。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像11

とっても変わった花と大きな葉を持つ、
特徴的なtetrapteraは、
海外の栽培者の目を引き続ける程に魅力的で、
皆さんにも是非とも育てて欲しいユーカリです。

ただ、ユーカリには相性というものがあり、
環境や栽培者の性格如何によっては、
とても難易度の高いユーカリになるかもしれません。

それでも、そんな難易度を承知してでも、
育ててみたいという魅力満載のユーカリです!

macrocarpakruseanaを育てている人には
問題なく育てられるユーカリです。

またtetragonaなどを元気に育てられている人も
入っていきやすいユーカリであると思います。

育てたい方には朗報です!
親愛なるこあら師匠の農場にて
在庫があるとの記事がアップされています。

ちょっと癖があり、我儘ではありますが、
それでも、非常に珍しいtetrapteraの花を
是非とも咲かせてみてください!

------------------------------
<栽培難易度:D>
香良さ:★★?
香強さ:★
成長力:★

要水分:★
耐過湿:★★
耐水切:★
耐日陰:
耐移植:★★★
耐寒性:★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

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