続きまして第12回目はユーカリ精油といえばこれ!
日本でも明治時代からお馴染みのユーカリ、
タスマニアン・ブルーガムことユーカリ・グロブルスです。
◎ユーカリ・グロブルス
【学名:Eucalyptus globulus ssp. globulus】
【英名:Tasmanian Blue Gum】

このglobulusは明治時代から日本でお馴染みのユーカリです。
日本人がユーカリ特有の香りや葉をイメージしたり、
メンターム等で使用されているユーカリ油は
全てがこのglobulusのものです。
正式な和名はユーカリノキ(有加利樹)といいます。
この辺りが古くから(明治10年ごろらしいです。)
日本で親しまれてきたんだなと思われるところですね。
globulusには4種の亜種と1種の矮性種が存在します。
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●Eucalyptus globulus ssp. globulus
●Eucalyptus globulus var. compacta
●Eucalyptus globulus ssp. bicostata
●Eucalyptus globulus ssp. maidenii
●Eucalyptus globulus ssp. pseudoglobulus
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これらは全てが非常に良く類似していて、
小さな苗や数m程度の苗木の間の識別はほぼ不可能です。
一番の識別方法は大きく育ってからできる
蕾や実の大きさや形状を比較するのが一番です。
>>>詳しい識別についてはこちらの記事をご覧ください。
今回ご紹介するssp. globulusは、
タスマニアン・ブルーガムという名前で
ホームセンター等でも良く見かける品種です。
オーストラリアの各所に生息するglobulusの中では、
その英名の通り、タスマニアを中心に
生息しているglobulusの原種です。
もちろん日本に一番良く入ってきているのもこの品種です。
※最近はssp. bicostataも非常に良く見かけます。
亜種間での比較の対象になる実のサイズが最も大きく、
横幅が1.4~2.7cm、長さは1~1.5cmにもなります。
また、蕾や実が白く粉を吹いているのも特徴です。
蕾と枝を結ぶ部分はほぼ存在しません。

そしてさらに大きな特徴として、
蕾は下の写真のように単独で生じます。
また、育ちきった下葉の緑色が濃くなり、
香りも強く、大葉に育つのが特徴です。
ただでさえ大きく育つglobulusの中でも最も大きく、
大きなものでは70mを超えるような大木へと育ちます。
根の張りもユーカリ中トップクラスに盛んで、
現地の栽培ガイドには、
発達した根が家屋の基礎を揺るがすこともあるため、
「住居などの側には決して植えないように」
との記載が見つかります。
育ててみると全くその通りで強健!育て方も非常に簡単で、
何よりもその成長の早さには相当ビックリさせられます。
露地植えにするとあっという間に人間の背丈を超えてしまいます。
植木鉢であっても、太陽にたくさん当てることで、
1年以内に人の背丈を超えるほどに成長します。
var. compactaについても簡単に説明をしておきます。
これはssp. globulusの小型種で、
最終的なサイズがかなりコンパクトになるようです。
ただ、小さな苗や苗木の間では、
ssp. globulusと全く差はありません。
ただ成長速度はssp. globulusより穏やかなようです。
少しだけタネが高価ですが、日本で育てるのであれば、
var. compactaの方が都合が良いかもしれませんね。
※それでも25m級の大木になります。
globulusは古くから日本で親しまれてきただけあって、
日本の環境には非常に合っています。
ユーカリの中ではかなり水を好む方で、
小さな鉢ではあっという間に水切れを起こします。
水分管理も考えて、小まめな摘芯を心がけてください。
とりあえず一般的な観葉植物並みの管理で問題ありません。
ただし、かなり日光が大好きという性質を持っているため、
室内や日陰で管理を行うと徒長し貧弱に育ちます。
なるべく、屋外の日光が良くあたる場所で管理してください。
精油の含有量も殺菌力も強烈なため、
虫害は皆無、病気の心配もほとんどありません。
ただし例外的にハダニの被害が出ることはあります。
他では、弱酸性を好むユーカリの中では珍しく、
若干アルカリ寄りの用土を好む傾向があり、
多くのユーカリが嫌う多肥にも耐性があります。
あまり用土が酸性寄りに傾き過ぎると、
葉先が縮れたりといった症状が出ることもあります。
ただこのアルカリ寄りを好む性質は
主にこの原種のssp. globulus特有の性質のようで、
その他の亜種については通常の弱酸性が適しています。
耐寒性は-8℃程度と言われており、
タスマニア生息種の中ではあまり強くない方ですが、
それでも十分な耐寒性を備えているといえます。
余程の寒地でもない限り、野外越冬は問題ないと思います。
冬は余り水を吸わなくなるので、少し乾燥気味に管理してください。
他では、タスマニア島は若干涼しい環境であるためか、
夏の暑さはあまり得意ではないようです。
高温障害の症状が出ることはありませんが、
真夏だけはその成長の激しさが若干控え目になります。
また、夏場は若干の葉痛みが生じることもありますが、
ほとんど気に留める必要はありません。
globulusは青々とした葉が特徴的な品種ですが、
その新葉は明らかに美しい銀葉で
冬季には薄ピンク色にも変わります。
この白銀色の新葉と育った葉の濃い緑色のハーモニーは
中々に美しい外観を演出してくれます。
また、茎が見てわかるほどの四角形をしています。
厳密にはssp. globulusは最も茎の四角が激しく尖っており、
手裏剣のように角が飛び出たウイング型という形状をしています。
茎の表面は少しザラザラしていますが、
globulusの中ではあまりザラザラは強くない方です。
globulusの魅力はやはりその効能でしょう。
ユーカリ茶としてもお馴染みで、実際に販売もされている品種です。
私も実際、お茶にして飲んでみましたが、非常に美味でした。
※ユーカリ茶についてはこちらをご覧ください。
精油で有名なだけあって、香りの強さもユーカリ中ピカイチ!
葉や茎を軽く指で撫でただけで強く香ります。
メンターム様の切れの良いスッとしたシネオールの香りの後に、
非常に爽やかな柑橘系の香りが色どりを添えています。
スタンダードなユーカリの香りと思われがちですが、
実際、かなり柑橘系の香りが強い、爽やか系の香りといえます。
とにかく、スッと香ってスッキリ突き抜ける強い爽快感があります。
花粉症に苦しむ私には非常に快適な香りです。
親愛なるこあら師匠のブログ「ユーカリクリニック」によると、
このユーカリをコアラに与えると、
不妊症になるとかいうとんでもない偏見があり、
日本の動物園でコアラには決して与えないそうです。
コアラが食べていそうなユーカリのイメージなんですがねぇ![]()
とにかくお茶にお風呂にポプリにと、
非常に使い道の豊かなユーカリなので、
これからも色々と活用していきたいと思っています。
少しベタなユーカリではありますが、使い道はたくさん!
外観も中々に綺麗なのでオススメしちゃいます。
ただし、本当に成長力は馬鹿になりませんのでご注意ください。
是非皆さんも育ててみてください!!
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<栽培難易度:A>
香良さ:★★★★★
香強さ:★★★★★
成長力:★★★★★
要水分:★★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★
耐病虫:★★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい
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