今日はユーカリの豆知識コーナーです。
ユーカリの祖国、オーストラリアは、
4万年以上前、アボリジニーがやってくる前から、
乾燥化が進み、植物には過酷な環境が広がっていました。
その過酷な環境下では落雷が多く発生したり
夏に山火事が多発することが多くありました。
今でも、BushFireといって、
オーストラリアのユーカリ林では山火事が多く発生します。
また、油分を多く含むユーカリ林は非常に良く燃え、
大規模の山火事にまで発展して、
森林自体が簡単に死んでしまうことがあります。
このような過酷な環境に耐えるために、
ユーカリは独特の進化を遂げました。
その中でも、大きな進化の一つである
Ligno-tuber(リグノチューバー)
についてお話したいと思います。
ユーカリを育てている方は、
ある程度育てていて、株元が木化してくると、
株元に瘤を作ることに気づきませんか?
この株元の瘤がLigno-tuberです。
Ligno-tuberは通常1/3くらい地上に顔を出しており、
2/3は地中に埋もれています。
一度死んで復活した銀世界の写真をご覧ください。
赤で囲った部分がLigno-tuberです。
この銀世界もLigno-tuberから再生しました。
このLigno-tuberは、木が元気なうちは何もしません。
ひたすらに養分を蓄え続けて、
いざというときのためにじっと待っています。
そして、山火事やその他の事故により、
木が死んでしまったとき、
Ligno-tuberは活動を始めるのです。
今まで溜め込んできた全ての養分を使って、
Ligno-tuberから新たな芽が成長を始めます。
Ligno-tuberは硬い皮で覆われており、
尚且つ地中に大部分が埋もれているため、
山火事の中でも生き残ります。
Ligno-tuberはユーカリの生命維持予備タンクです。
このLigno-tuberは育成環境下でも非常に頼りになります。
普通の草木なら枯れて絶望的な状態のときも、
ユーカリならLigno-tuberがあれば、
新芽をそこから出す可能性があります。
ただし、幼い苗のうちはまだ
Ligno-tuberが形成されていません。
そのような場合には残念ながら枯れてしまったらおしまいです。
ユーカリを育てていて感じるのは、
葉や芽自体は決して強いとはいえません。
挿し木が難しいのは、細菌感染に弱く、
細胞分裂が活発ではないことが考えられるでしょう。
でも、そんなユーカリが、
過酷な環境を生き抜くための能力には
凄まじいまでのバイタリティーを感じます。
余談ですが、ユーカリの山火事対策には4段階+αあるんです!
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1. 葉は燃えやすいが樹皮は非常に硬く中までは中々燃えない。
2. 通常の芽がやられたら、
脇に隠したaccessory budという予備の芽を出す。
3. この予備の芽がやられたら、
幹から直接epicormic shootという枝を出す。
4. これら全てを含む地上部が死滅したらLigno-tuber始動!
α. ユーカリの幹はねじれて成長するため、
頻繁に皮が剥がれて落ちる。
この剥がれた皮は根元の水分維持と
Ligno-tuber保護の役目を果たす。
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こうして見てみると、
ユーカリって無敵か?
って思いますよねw
※ちなみにユーカリには品種によって
Ligno-tuberを生成しないものもあります。
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