ユーカリの薫るベランダで[Mobile版]
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ユーカリ育成ブログです。タネを輸入して150種以上のユーカリを育てています。 By eucalyptus_k
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【ユーカリ紹介-23】ユーカリ・レーマニー (Eucalyptus lehmannii)
コメント(0件) 2011/02/25 01:21
カテゴリ:ユーカリ紹介
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第23回目は西オーストラリア軍団の一員で、
非常に変わった形状の蕾から
特徴的なライムグリーンの花を咲かせる、
かなり際物のユーカリ・レーマニーです。

◎ユーカリ・レーマニー
【学名:Eucalyptus lehmannii】
【英名:Bushy Yate / Lehmann's Mallee / Snake Gum】

fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像1

fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像2

このlehmanniiはその奇妙なバナナのような形の蕾、
fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像3

そこから咲く、チアリーダーのポンポンや
フラダンスの腰蓑のような薄いライムグリーンの花、
fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像4

トゲの生えた鉄球のような少し厳つい形の実と
fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像5

非常に面白い特徴を持っています。

大きな木になるユーカリが多い中、
lehmanniiは最小の部類で、
3m程度のブッシュ(茂み)状に育ちます。
私はまだ花を咲かせるには至っていませんが、
このサイズを考えると、鉢植えでかなり低い樹高でも
この特徴的な花を咲かせることができると考えています。

fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像6

写真のように葉の形はかなり細長い部類に入ります。
ブッシュ状に育つその性質からか、
細かい脇芽を縦横無尽にクネクネ出しまくるため、
まるで炎が燃えているかのような樹形に育ちます。
親愛なるこあら師匠は、このlehmanniiの樹形を
不動明王の背面にある炎に例えていらっしゃいました。

また新芽は非常に細い線のような形で生じてきます。

fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像7

この炎のようにも見えるクネクネ茂った樹形と細い新芽が、
蛇に見えるということでSnake Gumとも呼ばれているようです。
Snakeというと不気味なイメージがしますが、
どちらかというと少し豪快で神秘的な雰囲気があります。
とにかく家のベランダのような多種のユーカリが密集する場所でも、
一際異彩を放っていることは間違いありません。

lehmanniiの生息地は最も厄介なユーカリが多く生息している、
オーストラリア南西部の沿岸部です。
この地域は暑くもなく寒くもなく、雨も適度に降るので、
ここに生息しているユーカリ達はかなり気難しい傾向が強いです。
そんな厄介なユーカリ達の中では、
lehmanniiは、比較的育てやすいユーカリです。

日光はかなり大好きで、乾燥気味に管理するといった、
西オーストラリア軍団の代表的な育て方をします。
ところが、macrocarpa/orbifoliaなどの
内陸部の砂漠地帯に生息している品種とは大きく異なり、
かなり水が好きで、水切れにも注意する必要があります。

非常に乾燥力の強い用土と鉢で育て、
頻繁に乾いて水を与えるといったような環境がベストです。
私は瓦礫のような用土で育て、肥料分もほとんど与えていませんが、
そのような環境でこそ、調子良く育ってくれています。
とにかく水が好きな癖に、
過湿は嫌うという性質にだけは気をつけてください。

もうひとつ注意するポイントとしては、
lehmanniiは精油成分が少なく、香りも非常に弱いため、
病害虫の被害を受けやすいというところです。
ユーカリでは珍しくアブラムシの被害にあったり、
Osakano_Jieさんのお宅では、
ハキリバチ尺取虫の被害にあったりするようです。
また、うどんこ病にも罹りやすい品種です。

またかなりのアルカリ耐性を兼ね備えているようで、
多肥で用土がアルカリ寄りに傾いても、
多くの西AZのユーカリのように
鉄分欠乏症の症状が出ることはありません。

ただ普通に育てる上では、
pHは特に気にすることなく、弱酸性で問題ありません。

成長力は平均的ですが、決して遅い方ではありません。
高い気温の中、たくさんの日光を受けて、
素早く乾いて水をたっぷり与えられるような環境下では、
少し見ないうちに葉がたくさん増えていてびっくりするほどです。

この生息地のユーカリは余り寒さに強くないのですが、
耐寒性ではlehmanniiは思ったよりも頑張るようです。
今年の-5℃近くまで下がった大阪の冬を難なく乗り越えています。
ただ、葉が細く柔らかいため、寒風には非常に弱く、
新しい葉に大きなダメージを受けることがあります。

できることなら、風の当たりにくい軒下などでの越冬を推奨します。
家のベランダでは寒風を凌げる場所に置いていましたが、
葉の痛みもほとんどなく、非常に元気に越冬できました。

気になる香りについては、rudisに少し似ています。
シネオールをベースにスパイシーでウッディーな香りが漂います。
アロマティックというよりは少し渋めの香りです。
また、精油が少なく、葉を指ですりつぶしてやっと香るほどですから、
香りを楽しむユーカリとしてはおすすめできません。
やはり花を咲かせるために育てるユーカリといえます。

このlehmannii、本当はかなりマニアックなユーカリのはずですが、
その特徴的な蕾と花と実が魅力的だからでしょうか。
海外の園芸店やタネ屋ではかなり良く見かけるユーカリです。
ところが日本では全くといっていいほど見かけることはありません。

fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像8

cinereaなどの東オーストラリアのユーカリに比べると、
少し気難しい性質ではありますが、
西オーストラリアのユーカリ入門編にはぴったりだと思います。
とにかく用土の排水性をしっかりすれば、、
そんなに栽培難易度の高いユーカリではありません。

ユーカリの開花を目指して鉢植えで育てるのに最適。
日照の良い庭の庭木としても非常に面白いと思います。
是非、一度、チャレンジして、
西オーストラリアのユーカリを体感してみてください!
育ててみたい方には、素晴らしい農場をご紹介します。

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<栽培難易度:C>
香良さ:★★
香強さ:★
成長力:★★★

要水分:★★★
耐過湿:★★
耐水切:★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★
耐病虫:★★

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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

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