続きまして第44回目は、
ユーカリプレゼントでは何故か大人気!
globulusに良く似た大型品種で
葉の香りがとってもジューシーなユーカリ・ニテンスです。
◎ユーカリ・ニテンス
【学名:Eucalyptus nitens】
【英名:Shining Gum / Silvertop】
以前、ユーカリプレゼントを行った際に、
貧弱な苗にも関わらず、大人気だったnitens。
ジューシーな葉の香りやシャイニングという名称が、
とっても魅力的なnitensですが、
実際はglobulusに負けないくらいの超大型品種で、
70mオーバーの巨大で立派な樹木へと成長します。
また、冷涼多雨地域の植林にも使われている品種で、
成長が早く、良質な木材を産することでも知られています。
私もnitensを育てる上げるまでは、
どんなユーカリかと楽しみにしていましたが、
育ててみると、葉のサラッとした、
少しスマートなglobulusといった感じです。
nitensの茎はglobulusと同じく、
角の尖った四角(手裏剣型)をしており、
表面がザラザラしているところもglobulusにそっくりです。
また葉はびっくりするほどに大葉で、
家のベランダのように環境がイマイチでも、
とても大きく立派に育ってくれます。
もし、もっと良い環境で育てた場合、
びっくりするような大葉に育つことと思います。
一つ育てていて分かった
このnitensの際立った特徴があります。
それは、異様なまでに太陽が好きということです。
びっくりするような大木に育つnitensですが、
比較的明るくても、直射日光が全くあたらない場所で育てた場合、
全くその成長力を発揮できず、葉もとても小さく貧弱に育ちます。
ところが、一日のうち少しの時間でも
直射日光が当たる場所に移したところ、
一気にその成長力を発揮してくれました。
また、一方向からしか日光が当たらない場合、
すぐにそっちの方を向いて、少し癖が悪くなります。
一番上の写真を見ていただくとわかりますが、
葉が小さかったり大きかったりしていると思いますが、
これが栽培場所を途中で変更した結果です。
nitensを育てている方は、
とにかく直射日光に気をつけてください。
英名のシャイニングの由来ですが、
葉の白さとその樹皮が太陽に当たると
輝いて見えることから名づけられたそうです。
また学名のnitensもそのまま、
シャイニングの意味となっています。
少し個人的なエピソードですが、
家の息子の名前に輝という文字が入っているので、
Shining Gumの名前を持つこのnitensを
誕生記念樹としてタネを播いたのが、
nitens育てるきっかけになっています。
Silvertopという名称も
このnitensの大きな特徴を表しています。
葉先の新芽が、白銀色の
まるで大きな蘭の蕾のように育ってきます。
この特徴的な新芽から
Silvertopという名前が付けられたそうです。
実際に見てみるとなかなかの迫力です。
nitensは現地オーストラリアでは
冷涼地の高山に生息しています。
そのため、大阪などの暖地よりも、
もっと涼しい長野県や東北地方などに
より合った品種と言えるでしょう。
大阪などの暑い地域では、
夏場にかなり激しく葉痛みが起こります。
ただし直射日光を当てないと貧弱になるので、
夏場の葉痛みにはある程度の妥協が必要です。
葉痛みは高温多湿を避けることである程度軽減できます。
春先や秋口にはまた美しい新芽を出してくれますが、
大阪では根本的に涼しい成長期が短すぎるため、
綺麗な葉を生成~夏に葉痛みを繰り返しています。
とにかくnitensはかなり冷涼な気候を好むユーカリで、
大阪などでは根本的に気候が合っていないと言えます。
nitensの管理方法としては、
先程書いたように直射日光に当てることと、
とにかく爆発的な水食いなので、
水切れに十分に注意することが大切です。
実はnitensの生息する地域は
オーストラリアではとても珍しく、
日本の多くの地域よりも雨量が多くなっています。
そのため、過湿に対する耐性も吸水量も
日本の在来の植物と同等か、それ以上になっています。
恐らく、一般のご家庭で育てる場合は
春以降の季節からは一日一回以上の水遣りが
必須になってくると思います。
下手に育てると、旅行にいけなくなります(笑)
あまりにも水切れが早い場合には、
「ユーカリは乾燥が好き」というのを一旦忘れて、
用土の保水性を大幅にあげるか、
夏場は全くと言って良い程成長が進まないので、
敢えて半日陰で管理した方が良いかもしれません。
家でも5月で朝方、用土の表面が少し湿っている程度で放置すると、
良く晴れた日であれば、昼過ぎにはもう水切れしています。
直射日光の当たらない環境で貧弱に育てると
うどんこ病などの病害の影響を受けることもありますが、
直射日光を十分に受けた丈夫な葉は、病害を寄せ付けません。
虫害については未知数ですが、
精油に殺菌作用のある成分があまり含まれていないので、
少し虫害を受ける可能性はあります。
とにかくnitensは、環境さえ合えば、
とても育てやすいユーカリであることは間違いありません。
ただし、超大型品種なので、
間違っても日本では露地植えは避けた方が無難です。
高山生息種なので、耐寒性ももちろんぴか一です!
-14℃程度までは全く問題ありません。
冬にはgoniocalyxなどのように
比較的強く紅葉します。
また、冬に過湿でユーカリを枯らせてしまった人にも安心!
冷涼湿潤を好む品種なので、冬季の過湿にもとても強いです。
このnitensの最も大きな魅力はその香りです!
精油成分に花や果実の芳香成分を多量に含んでいるため、
とても甘く、ジューシーな香りがします。
例えるならフルーツガムの香りという感じでしょうか。
このユーカリの香りはとても素晴らしいもので、
シネオールやミント様のハーバルな香りはほとんどしません。
海外の文件では、レモンユーカリに準えて、
フルーツユーカリやジューシーユーカリ
などと書いている人もいます。
また、精油含有量も比較的多いため、
香りの強さもなかなかのものです。
見た目や性質はとてもガテン系のユーカリですが、
それとは対照的にジューシーで官能的な香りを楽しめます。
私も今後はなるべく太陽を当てて丈夫に育て、
お茶やアロマ、お酒などに利用していきたいと考えています。
この魅力たっぷりのnitensですが、
一つだけ厄介なことがあります。
それは日本ではまず見かけることはないほどに
とてもマイナーなユーカリであるということです。
恐らく、今育てているのは、
植林に携わっている企業や研究機関か、
私と私がユーカリプレゼントをした方だけ
といっても過言ではないでしょう。
また、とても超大型品種のユーカリは
どうしても小さな鉢植えで育てるには限界があります。
そういった意味では、
日本の狭いスペースでのガーデニングには
あまり向いていないと言えるかもしれません。
それでもこのnitensを育ててみたい方には
タネの販売元をご紹介します。
発芽しないタネが多数出回っているので、
下手に購入しない方が無難です!
発芽には少し癖がありますが、
育苗難易度はとても簡単な方です。
すこし男前、
でも、とってもジューシーな香りがするnitens。
ぜひともその素晴らしい香りを
一度は香っていただきたいなと思っています。
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<栽培難易度:B>
香良さ:★★★★★
香強さ:★★★★
成長力:★★★★★
要水分:★★★★★
耐過湿:★★★★★
耐水切:★
耐日陰:★★
耐移植:★★★★
耐寒性:★★★★★
耐暑性:☆
耐病虫:★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい