ユーカリの薫るベランダで[Mobile版]
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【品種別栽培ガイド-09】ユーカリ・オービフォリア (Eucalyptus orbifolia)
コメント(4件) 2012/11/04 17:37
カテゴリ:品種別栽培ガイド

続きまして第09回目は
ユーカリ・オービフォリアです。

◎ユーカリ・オービフォリア
【学名:Eucalyptus orbifolia】
【英名:Round-leaved Mallee】
fancyboxオービフォリア(Eucalyptus orbifolia)の画像1

【品種情報】
最高樹高:5m前後
樹形:ブッシュ状のMallee(灌木)型
親葉への変化:ハートリーフ~一部楕円形の葉へ変化
適合pH:弱酸性(5.5-6.5)


【生息地情報】
地域:West Australia中南部、Northern Territory南端部、
   South Australia北端部
夏季最高気温:最高値47℃、平均値37℃
夏季最低気温:最低値9℃、平均値21℃
冬季最高気温:最高値28℃、平均値18℃
冬季最低気温:最低値-5℃、平均値6℃
年間降水量:100~300mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm


【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度ではかなりパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いと葉が薄く小さくヨレヨレで貧弱になります。
そのような葉はうどんこ病に悩まされることもあります。
屋内管理は完全不可。

・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏場であっても少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みます。
葉の蒸散をあまり行わないため、
ユーカリ中でも特に水の要らない品種です。

・用土
通常の観葉植物用土での栽培はできる限り避け、
パーライトや軽石、川砂などを多く混ぜ込み、
乾燥力を強化した用土の使用を推奨します。
粒状培養土やサボテン用土のような、
非常に乾燥力の高い用土での栽培に適しています。

・鉢
あまり問いませんが、根張りがデリケートなので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが異様に低下します。
この品種には必ず縦長の鉢を使用しましょう。

・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
基本的には、貧しい土壌を好む性質を持っているため、
多肥は避け、あまり肥料は与えない方が良いでしょう。

・植え替え
根がデリケートなので、植え替え時は注意してください。
初心者は絶対に根鉢を崩さないようにします。
特に根が細く長いので、切らないように十分に注意してください。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。

・寄せ植え
根が細くデリケートで、植え分けが不可能になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。

・病虫害
日照不足や生育不良により、新芽を中心に、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
空中湿度の高い環境を極端に嫌いますが、
葉が硬く厚いためか、病害虫の被害はほとんどありません。

・地植え
地植えをした方が明らかにパフォーマンスは上がります。
ただし、非常に成長の遅い品種で、
あまり日本の気候や風土にも合っていないため、
爆発的な成長力は望めないと思われます。
地植えの際も、なるべく乾燥した場所や土壌を選択し、
空気や湿気が籠らないような工夫が必要です。

・耐寒性
西AZのユーカリの中ではかなり高い方で、
鉢植えでも-7℃くらいまで耐えられると思います。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
葉が厚く丈夫なためか、全く紅葉することがありません。

・成長力
鉢植えであれば、最高で年10~30cmほど。
地植えするとさらに成長力は増すことと思います。
成長力自体はとてつもなく遅いというわけではありませんが、
日本とは根本的に気候が合っていないため、
成長する時期がかなり限られています。
そのため、結果的に見ると、成長はかなり遅いイメージがあります。
春・秋の、日中はとても暑く、朝方は肌寒いという、
一日のうちの寒暖差の激しい季節をメインに成長します。
冬や梅雨時期はほとんど成長せず、夏場もあまり成長は進みません。

・開花
知り合いの情報では70cmと150cmで開花したという情報があり、
残念ながら最近枯れてしまいましたが、
実家の80cmの株に蕾ができていたのを発見しています。
70cm程度の樹高があれば開花が見込めるようです。
花は、花弁の先が黄色い、白に近いクリーム色の花を咲かせます。
蕾や実は少しだけ粉を吹いているようです。

・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れです。
特に水分管理にはとてもうるさいので、
過湿が原因でいきなり枯れることのある品種です。


【季節の管理】
・春秋
日中は暑く、夜と朝方は肌寒いという、
寒暖差のあるような時期で、尚且つ
雨の少ない乾燥した時期に成長します。
成長するときはグッと成長が進みますが、
気候や環境が合わなくなると、途端に成長がストップします。
とにかくこの時期は、良く日光に当てて、成長を促しましょう。
春に日照不足だと、梅雨を乗り切るのが少し厄介になります。
秋は、しっかりと日々の気温の低下をチェックしていないと、
水遣り過多で過湿になり、いきなり枯れることがあります。
秋は梅雨に次いで、最も枯らせることが多い時期だと言えます。

・夏
梅雨時期はorbofoliaの鬼門の時期です。
しっかりと日光に当てていても、
曇りや雨の日が続き、気候がジメジメしてくると、
葉が傷み(枯れというよりは葉が腐るような感じ)、
葉をパラパラと散らせることが多くなります。
あまりにも傷みが酷い場合は、
雨のかからない場所に一時的に退避するのもありです。
ただし、間違っても室内管理はアウトです。

何とか厄介な梅雨を乗り越えて、
夏に入ると、思ったより成長は進みませんが、
とても安定した時期に入ります。
葉は激しく粉を吹いているため、
真夏の直射や西日にガンガンに当たっても、
全く葉焼けすることはありません。
いくら水が要らない品種と言っても、水切れは起こるので、
葉が柔らかくなって、萎れていないかなどチェックしながら、
夏場でも過湿にならないように注意して水遣りをします。
夏場は他のユーカリとは大きく異なり、
葉の白色が鮮やでとても綺麗になる時期です。

ところが高温に多湿が加わると、
梅雨時期と同じ症状が多発することになります。
そのため、ハウス栽培などでは
夏場も注意が必要になってきます。

・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
日照や風通し、用土などにもよりますが、
他の植物と比べると、月に1~2回と、
ほとんど断水に近いような水分管理を行います。
冬になっても、葉に紅葉などの変化はほとんどありません。
完全に全ての活動を休止しているといったイメージです。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。


【特記栽培情報】
orbifoliaは特に成長の遅い品種ではないのですが、
気候が合わないと途端に成長をストップしてしまうため、
結果として日本では、とても成長の遅いユーカリになっています。
試しに1年間育ててみると良く分かりますが、
成長の進む時期というのがとても限られているのです。

特に昼は比較的暑く、日差しも強いのに、
朝方はかなり肌寒く、窓を開けてはとても眠れない
というようなとても限られた時期に成長を進めます。
丁度、4~5月の間と10~11月の間の雨の少ない時期です。
たまたま、この時期に雨や曇りの日が多く続くと、
そのシーズンのorbifoliaの成長はイマイチになり、
次のチャンスへ持ち越しとなってしまいます。
成長の進む時期だけを見ていると
さほど成長が遅いとは思えないほどなのですが。。。

また、用土の排水性にもとてもうるさく、
余分な水分が残るような用土で栽培すると、
徒長し、葉の数がとても少なくなってしまいます。
日光に良く当てて、風通しも良く管理しているにも関わらず、
葉が散ったり、葉の数が少なくなる場合は、
少し用土の質がorbifoliaには合っていないというサインです。

また、特に水を吸わず、乾燥を好む品種のため、
初心者は、ワンサイズ、もしくはツーサイズくらい
敢えて小さな鉢で栽培するのが良いでしょう。

日照については、半日陰くらいでも栽培は可能です。
ただし、日照が少ないとどうしても貧弱になり、
用土の乾燥も進まなくなりますので、
過湿による枯死の可能性は自ずと高くなります。

基本的には、フルタイム直射日光を好む品種なので、
ふんだんに日光が当たり、風通しも良い
オープンスペースでの栽培が好ましいです。

大きな株になってしまえばさほどの心配はいりませんが、
幼苗の間やあまり根が張りきれていない間は
雨を避けて管理した方が良いかもしれません。

先述しましたが、梅雨時期や
ハウス内栽培など夏場に高温多湿になりやすい場所での管理は
orbifoliaにとって鬼門です。
水分管理をしっかりと行っていても、
見るからに調子が悪くなり、葉を散らせたりします。

なるべく、空中湿度を下げる工夫を行い、
梅雨時期には雨を避けるなどして、
ある程度の傷みは受け入れて、何とか耐え忍んでください。

結論として、とても良い栽培方法や
好む環境づくりなど、私もいまいち読み切れていません。
私はどちらかというと、比較的相性の良いユーカリです。

難しいユーカリというのは、誰にも難しいものなのですが、
不思議とこのユーカリには、とても個人差があるのです。
このユーカリと相性が悪く、軒並み枯らせる人もいれば、
毎年屋外に放置しているだけで、とても元気に育てている人もいます。

上記のような結果から、何らかしかorbifoliaに合う
栽培のポイントというものがあるのだろうと思っています。
育て方も環境も人それぞれですから、まずはorbifoliaを育ててみて、
経験の中から栽培のポイントを掴んでみてください。

とても傷みやすく、我儘な性質を持っていますが、
完全に枯死することはそこまでありませんので、
砂漠地域のユーカリ栽培の入門編には最適です。

このユーカリを上手く育てることができたら、
その他の西AZのユーカリなどを上手く育てるポイントが
とても良く理解できるかと思います。


※情報は適宜追加・変更します。

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