ユーカリの薫るベランダで[Mobile版]
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【品種別栽培ガイド-11】ユーカリ・コルダータ (Eucalyptus cordata)
コメント(6件) 2014/03/05 14:10
カテゴリ:品種別栽培ガイド
続きまして第11回目は
ユーカリ・コルダータです。

◎ユーカリ・コルダータ
【学名:Eucalyptus cordata】
【英名:Heart-leaved Silver Gum】
fancyboxコルダータ(Eucalyptus cordata)の画像1

【品種情報】
最高樹高:20m前後、稀に6m前後
樹形:Tree(木立)型、稀にMallee(灌木)型
親葉への変化:逆ハート型の葉からほとんど変化なし
適合pH:弱酸性~中性(5.0-7.0)


【生息地情報】
地域:Tasmania南東部(準高山地帯)
夏季最高気温:最高値37℃、平均値16℃
夏季最低気温:最低値0℃、平均値7℃
冬季最高気温:最高値16℃、平均値7℃
冬季最低気温:最低値-8℃、平均値1℃
年間降水量:900~2600mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm


【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度では著しくパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いと葉が薄く小さくヨレヨレで貧弱になります。
そのような葉は病虫害に悩まされます。
屋内管理は完全不可。

・水遣り
かなりの水食いで乾燥耐性はあまりありません。
表面が乾いたらたっぷりというタイミングで水遣りを行い、
通常の観葉植物と同等の管理で栽培が可能です。
ただし、常に用土が湿っている程には必要ありませんが、
そのような環境でも栽培は可能です。
通年で水切れには少し注意が必要です。

・用土
通常の観葉植物用土でも栽培可です。
かなりの水食いですが、排水性は良いにこしたことはありません。
日照が良く、水切れが早過ぎるような場合でない限りは、
パーライトや軽石、川砂などを少し混ぜ込んだ方がより良いです。

・鉢
根張りがデリケートなので、横広の鉢だと、
パフォーマンスが異様に低下します。
この品種には必ず縦長の鉢を使用しましょう。
鉢植えと地植えで非常に生育に差の出る品種です。

・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。

・植え替え
根がデリケートなので、植え替え時は注意してください。
初心者は絶対に根鉢を崩さないようにしましょう。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。

・寄せ植え
根が細かくデリケートで、植え分けが不可能になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
また、吸水力が激しいので、寄せ植えした花草を
早い段階で枯らせたり、生命力を奪うことがあります。

・病虫害
日照不足や生育不良により、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害の激しい品種です。
葉のシネオール分が非常に多いため、
その他の病虫害はほとんどありません。

・地植え
地植えすると本来のパフォーマンスが出て、
かなり激しい成長力を発揮します。
普通に育てると、すぐに数メートルに成長します。
多くの場合はTree(木立)型の立派な樹木へと成長しますが、
中には数m程度のMallee(灌木)型に育つものもあります。

・耐寒性
地植えの成樹で-12℃と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
ただし、極寒の北米やヨーロッパでは生き残れないそうなので、
北海道の寒地では屋外越冬は難しいかもしれません。

・成長力
かなり冷涼湿潤な環境を好むため、
日本の暖地では思ったよりも成長が進みません。
環境さえ合えば、成長はかなり激しくなりますが、
鉢植えにすると極端にパフォーマンスが落ちます。
それでも1年で30~40cmは十分に成長します。
地植えの場合は、思ったより成長が激しいので
ある程度の覚悟と注意が必要です。

・開花
日本ではあまり見かけないため、
開花したという情報を聞いたことがありません。
海外の写真で見る限りは、
最速で2m弱くらいの樹高が必要かと思います。
花はクリーム色の花が咲きます。
蕾や実も白く粉を吹いており、美しい外観をしています。

・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、水切れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。


【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
日本の暖地では成長時期が非常に短いため、
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
日照が悪いと、全くと言って良いほど成長が進まず、
薄緑色のヨレヨレな葉となり、美しい白銀色がうまく出ません。
そのような葉には、うどんこ病が発生することもあります。
丈夫で白みの強い葉にするためには、とにかく良く日光に当ててください。

・夏
最も枯らせることが多い時期。
水は非常に良く吸いますが、
暑い時間帯に大量の水を与えることで発生する、
高温多湿による根の蒸れに十分に注意します。
暑さだけであれば、決して弱くはなく、
高温障害の症状が出ることはほとんどありませんが、
夏場はかなり成長が控え目になります。
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。

・冬
用土の表面がカラカラに乾いてから、
2~3日後くらいのタイミングで水遣りをします。
これも通常の観葉植物とほぼ同じ管理方法です。
他の乾燥を好むユーカリと同じように育てていると、
冬場でもいきなり水切れを起こすので注意が必要です。
寒地では葉が赤紫色に紅葉することもあります。
下葉の多くが真っ赤になって、散ってしまうという現象は、
過湿のサインですので、その場合は少し給水量を減らします。

【特記栽培情報】
私は大阪で育てていますが、
元々かなり冷涼な環境を好むユーカリのため、
イマイチ環境が合っていないように思います。
そのため、中々最高のパフォーマンスは出せませんが、
それでも美しく立派な株を栽培することは十分に可能です。

逆に長野県や東北などの冷涼な環境で育てると、
大阪よりも遥かに良いパフォーマンスが出ると思います。
また、前述しましたが、鉢植えと地植えでの差が大きく、
鉢植えでは中々本来のパフォーマンスが出ない品種です。

西AZのユーカリに匹敵するほどに日光が大好きなユーカリです。
関西や関東の暖地で育てる場合には、
とにかく、良く日光に当てて、成長期の成長を促すことが重要です。
日照が悪く、あまりにも環境が合わない場合には、
一年を通してほとんど成長しないという場合もあります。

暖地の暑い夏の場合、あまり湿気の籠る場所に置いていると、
葉がかなり汚くなってしまうことがありますが、
春や秋には、またある程度復活をするので、
そういうものだという若干の妥協も必要です。
涼しく風通しの良い場所に置くと改善されますが、
何よりも日光を最優先した方が良いです。

小さな苗の間はさほど感じないかもしれませんが、
元々半湿地帯のような環境に生息しているユーカリのため、
成長が進んで、根張りが激しくなっていくと同時に、
gunniiよりも遥かに激しい吸水量をはじき出します。
その分、過湿にはとても強いので、
多くの乾燥を好むユーカリよりも、
日本にありふれた観葉植物のような管理になります。

良く日光に当てた葉は硬くなり厚みが出てきて、
美しく魅力的な、他にはない銀葉へと育っていきます。
美しく育った銀葉は花材にも利用されています。

葉のシネオール分はユーカリ中でもトップクラスに多く、
非常に強い薬用的な生粋のシネオール臭がします。
香りを楽しむには少し強すぎるかもしれませんが、
精油の利用価値は多々あることと思います。

恐らく、毎日水を与えたとしても、
枯れることはない程に過湿に強いユーカリです。
ただ、暑さがあまり得意ではない性質から、
夏場の暑い時間帯に水を与えすぎると、
根が蒸れていきなり枯れてしまうこともあります。
ただこの根の急性根腐れは、在来の植物などでも起こることなので、
そこまで強く注意する必要はありません。


※情報は適宜追加・変更します。
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