ユーカリの薫るベランダで[Mobile版]
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Mundulla Yellow(マンダラ・イエロー)
コメント(0件) 2014/08/15 16:58
カテゴリ:ユーカリ(栽培知識)
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栽培環境がベストではないこともあって、
私はユーカリの病気には常に悩まされています。

病気については常日頃からネット等で調べて
情報収集を怠っていません。

現地ではユーカリの病気として深刻なのが、
サビ病(Rust)斑点病(leaf spot)です。

我が家でも斑点病は日常茶飯事で、
サビ病についても、
いくつかの品種でその被害が見られます。

fancybox記事334の画像1

fancybox記事334の画像2

これらの病気は面倒ではありますが、
そこまで甚大な被害をもたらすこともなく、
葉が痛みこそすれ、枯死に至ることは稀です。

時折、あまりに行きすぎた場合には、
殺菌剤である程度防除することもできます。

ところが以前から悩まされている、
ユーカリがクロロシス(色素欠乏)様となって、
手の施しようがなく枯れるという症状があります。

fancybox記事334の画像3

これは高pHが原因の鉄分欠乏症である可能性
高温障害による色素欠乏様の被害である可能性もあり、
一部の軽度なものでは、風通しを改善したり、
酸度未調整のピートモスを施したり、
鉄分系の肥料を施肥したり、
総合的に高pHを避けるような工夫をすることで
ある程度の改善が見られています。

ところが何をやっても一向に改善が見られず、
ただただ、葉の色素がなくなって、
枯死まっしぐらという困ったケースもあります。

ちなみにこの記事に掲載している2枚の写真の
クロロシス様の症状を発症している2株ですが、
既にこの世にはありません。

fancybox記事334の画像4

原因が栄養素の不足であるとしても、
何かこのような事例はないものかと、
最近海外の文献を読み漁っていました。

するとユーカリを初めとして、
アカシアなどが被害に合う
Mandulla Yellowという症状に行き当たりました。

このMandulla Yellowは我が家の症状と全く同じく、
新芽を中心に色素欠乏の症状が現れ、
最終的には樹木全体に拡がって、
葉枯れが起きるというものです。

発症して何年か後には大きな樹木でさえも、
枯死に至る可能性があるという深刻な症状です。

このMandulla Yellowは、
オーストラリア固有の植物に
深刻な被害を及す問題として、
現地の研究機関が調査を行っているようですが、
現在のところ、ハッキリとした要因は
わかっていないようです。

現在、その要因として
候補に挙がっているのが下記の三点です。

------------------------------------------------------

1. 土壌の高pHが原因の鉄分やマンガンの欠乏及び
  土壌に蓄積した炭酸や重炭酸塩による障害。

2. ファイトプラズマという植物の細胞内に寄生する
  ウイルス並みに小さな細菌の一種による障害

3. 除草剤の残留成分による障害

------------------------------------------------------

現在、どの要因についても、
研究者によって意見は異なり、
各要因を裏付ける情報や、
否定する情報などがたくさんあります。

まず1の要因については、
いくつかの発症株と健康株の比較で、
発症株の植わっている土壌は、
明らかにpHが高く(7.8以上)、
鉄分等の微量要素の含有量が低かったそうです。

また、pHを下げることや、
鉄分やマンガンなどの要素を補給することで、
一定の改善が見られたという情報もあります。

ところが2や3の要因を提唱する研究者によると、
pHが高くなくても発症するケースや、
pHが高くても全く発症しないケースがあり、
1の要因は確かだとは言えないとのことです。

確実に言える情報としては、
この症状にかかった株と同じ場所に別のユーカリを植えると、
その株もかなりの確率でMandulla Yellowを発症するようなので、
土壌が関わっていることだけは間違いなさそうです。

主にはオーストラリア本土での症状ですが、
最近は世界各国の栽培者から
同様の症状を発症しているという
報告が相次いでいるようです。

現在はこれ以上の情報は
明らかになっていないようですが、
今後も研究や調査は進んでいくようなので、
私もこの情報を適宜チェックしたいと思っています。

とにかく難儀なMandulla Yellowですが、
これも海外の植物を育てる醍醐味といえますね。
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