ユーカリの薫るベランダで[Mobile版]
since 2009.01.09
ユーカリ育成ブログです。タネを輸入して150種以上のユーカリを育てています。 By eucalyptus_k
【ユーカリ紹介-70】ユーカリ・クレイドカリックス・ナナ (Eucalyptus cladocalyx nana)
記念すべき第70回目は、
鮮やかな緑色の丸葉が可愛い、
サウスオーストラリア生息種、
ユーカリ・クレイドカリックス・ナナです。
◎ユーカリ・クレイドカリックス・ナナ
【学名:Eucalyptus cladocalyx nana】
【英名:Dwarf Suger Gum】
このcladocalyx nanaは
日本ではかなりマイナーなユーカリです。
海外ではタネを手に入れるのは困難ではありませんが、
決してメジャーなユーカリというわけではありません。
Eucalyptus cladocalyxという
35m程度になる比較的大型のユーカリがあり、
nanaはその矮性種であるという意味になります。
原種と比べるとかなり小型になるようです。
最高樹高は10m程度までですが、
多くの場合は5m程度に収まるようで、
Ligno-tuber(地際の瘤)を生成しないタイプの
Tree型(木立型)の樹木へと成長します。
原種のcladocalyxは大型で育てにくいためか、
タネとしてはこのcladocalyx nanaの方が
良く出回っているようです。
生息地はサウスオーストラリア州の
カンガルー島を初めとした、
アデレード周辺の湾岸部です。
この辺りのユーカリは、
涼しく乾燥した環境を好むユーカリが多く、
cladocalyx nanaもその例に漏れません。
決して難しいユーカリではありませんが、
cladocalyx nanaの好む環境を用意できなければ、
病気がちになり、いきなり枯れたりすることもあります。
ただ良く乾燥した日照と風通しの良い場所があれば、
びっくりするほど簡単に育てることもできます。
学名のcladocalyxとは、
上の写真のように花が咲くときに、
葉のない蕾専用の萌芽枝を伸ばして、
花をたくさんつけるという特徴から、
「葉のない枝」という意味になります。
Sugar Gumという英名の意味については
現在調査中ですが、
恐らく葉に含まれる糖分が
多いからではないかと考えています。
cladocalyx nanaの大きな魅力の一つとして
その果実があります。
このユーカリの実は大きく丈夫で
形も興味深い樽型をしているため、
花材用のガムナッツとしてとても人気があります。
cladocalyx nanaの葉は粉を全く吹かず、
鮮やかな濃い緑色をしています。
良く日光に当てた下葉は少し青白っぽくなりますが、
新しい葉は特に鮮やかな緑色になります。
また葉の裏と表で質感や色に差があり、
表側が濃い緑色であるのに対して、
裏側はかなり白っぽくなることがあります。
葉型はポポラスなどのような
ハート型になることは滅多になく、
主には少しだけ先の尖った丸い葉になります。
ただ葉の大きさはそこまで大ぶりではなく、
元気な株ではたくさんの葉をつけるので、
なかなかに可愛らしい外観になります。
また枝先の方の茎は赤みを帯びる傾向が強く、
緑鮮やかな丸みのある葉と、
赤っぽい茎のコントラストも美しく映えます。
cladocalyx nanaの葉には
葉がお皿のように丸まるという特徴があります。
上の写真を見ていただくとわかりますが、
葉が内側にカールしています。
この特徴は面白い外観を演出してくれますが、
実は少しだけデメリットもあります。
水遣りの際に水をかけたり、雨が降ると、
このお皿のような葉に水が溜ります。
これにより湿気の多い時期には少し葉枯れが出たり、
うどんこ病などの病気が発生することがあります。
どうしても風通しの良い場所が確保できない場合は、
水がかかった後に、少し葉を揺らせて、
余分な水分を落とした方が良いでしょう。
しっかりと日光に当てて育てた株では、
非常にカラッと乾燥した薄く硬い葉になります。
一見すると枯れているのではと思ってしまう程です。
無理に葉を折り曲げるとすぐにパキッと折れてしまいます。
逆に日照不足など、環境がイマイチの場合には、
びっくりするほど柔らかい葉が生成されます。
また新芽部分の葉も他種に比べて非常に柔らかいです。
これらの葉は病害虫に酷く悩まされることになります。
最終的に大きく育ったcladocalyx nanaの葉は、
ユーカリ的な光沢のある鎌状の細葉へと変化します。
精油の含有量が少ないこともあるでしょうが、
cladocalyx nanaは、ユーカリには珍しく
非常に虫害の多いユーカリです。
普通に尺取虫や毛虫がついたり、
ハキリバチなどの被害を激しく受けます。
また先述した通り、
うどんこ病には非常に弱いユーカリで、
我が家のベランダでは、
全ユーカリ中でトップクラスの被害が出ます。
日照の良い実家の庭や知人の御宅の庭でも、
ある程度のうどんこ病が発生していますので、
うどんこ病には特に弱いユーカリであるといえます。
日照や風通しの良い場所では
そこまで深刻になることはありませんが、
ベランダなど、風通しの悪い場所では
時期によって、ある程度の薬剤散布が
必要になることもあります。
cladocalyx nanaの葉は、
鮮やかな緑色の柔らかい葉が多く、
病害虫の影響も激しく、香りもほとんどしません。
私のようにたくさんのユーカリを育てていると、
cladocalyx nanaはあまり
ユーカリっぽくないなあとさえ感じることがあります。
cladocalyx nanaの幹は赤みが強く、
全体的に小さな突起がありザラザラしています。
写真を見ると分かりますが、
形状は丸い部分と角のある部分が混在しています。
柔らかい葉に比べると幹はしっかりしており、
他のユーカリに比べても少し硬めです。
葉のように簡単に折れたりすることもなく、
かなり丈夫で弾力性もあるので安心です。
cladocalyx nanaの育て方についてですが、
乾燥力の強い用土を使用して、
風通しが良く涼しい場所で
良く日光に当てて育てます。
この風通しと日照という環境さえ整えば、
そこまで厄介なユーカリでありません。
cladocalyx nanaの吸水量は、生息地の近い
leucoxylonなどに比べるとかなり少なめで、
albopurpureaなどと同程度かそれ以下です。
ただそこまで水切れに強いユーカリでもありません。
基本的に夏場はほとんど動きがなく、
かなり涼しい季節メインで成長を進めます。
矮性種であるためか、成長はかなり控えめです。
元々過湿には弱い品種ではないのですが、
これに高温が加わると極端に弱くなります。
特に夏場の過湿には非常に弱いところがあり、
保水性の高い用土で栽培している場合、
暑い時間帯に水を与えてしまったりなどすると、
根の蒸れによる急性の根腐れで
いきなり枯れることがあります。
この夏場の過湿への弱さはかなり顕著で、
私も知人の栽培者も何度か経験しています。
夏場は水切れにも注意が必要な季節ですが、
寧ろ水の与えすぎや与える時間こそが
最も気をつける必要のあるポイントになります。
この夏場の枯れを防ぐためには、
乾燥力の高い用土で育てることが重要です。
酸性~弱酸性を好むユーカリが多い中、
cladocalyx nanaは比較的高めのpHを好みます。
基本的には弱酸性~中性程度がベストですが、
非常に高いアルカリ耐性を兼ね備えており、
アルカリ寄りの用土でも生育は良好です。
そのような性質からか、
比較的肥料の効果が出やすいユーカリでもあります。
ただし、多肥すぎるのは厳禁です。
また主に湾岸部に生息しているためか、
cladocalyx nanaは、ユーカリの中でも
かなり高い耐塩性も持っていますので、
海の傍の方でも安心して育てられます。
全く粉を吹くことがなく、
非常に柔らかいcladocalyx nanaの葉は、
昨今の厳しい真夏の日差しでは
少し葉焼けすることもあります。
早い時期から良く日光に当てた、
カラッとした硬い葉の場合は、
心配する程の被害は発生しませんが、
新芽部分やその他の柔らかい葉の場合は、
夏場には酷く葉焼けすることもあるので、
日照が激しすぎる場合には少し遮光が必要です。
真夏は大きな病害虫の影響もないので、
涼しい半日陰程度の場所に移動させるのもありですが、
春と秋と冬には、半日陰以上の日照を確保して、
日光にどんどん当てて成長を促進させてください。
結論として春と秋の病害虫の問題と、
夏場の急性根腐れにさえ気をつければ、
後は問題なく育てられるはずです。
cladocalyx nanaの耐寒性ですが、
あまり強いとはいえません。
地植えの成樹であれば-7℃以上でも大丈夫でしょうが、
樹高の低い鉢植えの株では、
-5℃程度が限界ラインではないかと思います。
余程の寒地か過湿でもない限り、
枯死することは稀でしょうが、
cladocalyx nanaの葉は非常に柔らかいため、
寒風に弱く、風吹きっ晒しの場所に置くと、
葉が激しく傷むことがあります。
主には葉のカールしている部分が真っ赤になり、
周囲に霜焼けの症状が出ることが多いです。
また水遣りの際などに葉に溜った水も、
冬場の葉痛みを引き起こします。
大阪のような暖地でも、
置き場所によっては真っ赤に紅葉して、
葉の周囲が激しく傷むことがあるので、
軒下などで寒風を凌いだ方が良いでしょう。
夏場の過湿に対する弱さとは異なり、
冬場の過湿には決して弱くはありませんが、
乾燥気味に管理した方が耐寒性は高くなります。
冬場は思ったよりも葉が傷むことがありますが、
毎年、春以降の生育が順調な場合は、
あまり気にしなくても大丈夫です。
実はこの記事の写真は昨年の秋頃のものです。
昨年の冬にかなり寒い場所に置いていたところ、
全体的に葉がボロボロになってしまったので、
今年は暖かい場所に置いて養生しています。
上が現在の写真になります。
葉はボロボロになりましたが、
通年の生育状態は決して悪くはありません。
気になるcladocalyx nanaの香りについてですが、
シネオールベースで少し青臭いハーバル系の
スッとした香りがかすかに漂います。
香り自体は決して悪くはないのですが、
かなり強めに葉をクラッシュしないと香らず、
とても香りの弱いユーカリです。
特に乾燥した硬い葉ではほとんど香ることがありません。
精油には面白い成分が入っているはずなのですが、
その含有量が非常に少ないのでしょう。
これが病害虫への弱さにも影響していると思われます。
残念ながら、香りを楽しむユーカリとしての利用は難しいです。
また葉に含まれている青酸配糖体の量が多く、
比較的毒性の強いユーカリであるとの指摘もあるため、
ユーカリ茶としての利用は避けた方が良いでしょう。
cladocalyx nanaは香りこそ楽しめませんが、
緑鮮やかな可愛い丸葉のユーカリが好きな人には
オススメなユーカリの一つです。
特に矮性種であるnanaであれば、
2m以内程度の樹高で
開花を実現できる可能性もあるはずです。
花自体は白い一般的なユーカリの花ですが、
その大きさと数はなかなかのもので、
開花後のガムナッツの収穫も興味深いです。
非常にマイナーなcladocalyx nanaですが、
日本で栽培している農場がありますので、
興味のある方にはご紹介させていただきます。
病害虫に弱く少しデリケートで
ユーカリらしからぬところのあるcladocalyx nanaですが、
逆に様々な在来の植物を育てている方には、
ごく普通の植物として育てられると思います。
ぜひ一度cladocalyx nanaを育ててみて、
その一風変わった特徴を満喫してみてください。
------------------------------
<栽培難易度:C>
香良さ:★★
香強さ:★
成長力:★★
要水分:★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★
耐暑性:★★
耐病虫:★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい
鮮やかな緑色の丸葉が可愛い、
サウスオーストラリア生息種、
ユーカリ・クレイドカリックス・ナナです。
◎ユーカリ・クレイドカリックス・ナナ
【学名:Eucalyptus cladocalyx nana】
【英名:Dwarf Suger Gum】
このcladocalyx nanaは
日本ではかなりマイナーなユーカリです。
海外ではタネを手に入れるのは困難ではありませんが、
決してメジャーなユーカリというわけではありません。
Eucalyptus cladocalyxという
35m程度になる比較的大型のユーカリがあり、
nanaはその矮性種であるという意味になります。
原種と比べるとかなり小型になるようです。
最高樹高は10m程度までですが、
多くの場合は5m程度に収まるようで、
Ligno-tuber(地際の瘤)を生成しないタイプの
Tree型(木立型)の樹木へと成長します。
原種のcladocalyxは大型で育てにくいためか、
タネとしてはこのcladocalyx nanaの方が
良く出回っているようです。
生息地はサウスオーストラリア州の
カンガルー島を初めとした、
アデレード周辺の湾岸部です。
この辺りのユーカリは、
涼しく乾燥した環境を好むユーカリが多く、
cladocalyx nanaもその例に漏れません。
決して難しいユーカリではありませんが、
cladocalyx nanaの好む環境を用意できなければ、
病気がちになり、いきなり枯れたりすることもあります。
ただ良く乾燥した日照と風通しの良い場所があれば、
びっくりするほど簡単に育てることもできます。
学名のcladocalyxとは、
上の写真のように花が咲くときに、
葉のない蕾専用の萌芽枝を伸ばして、
花をたくさんつけるという特徴から、
「葉のない枝」という意味になります。
Sugar Gumという英名の意味については
現在調査中ですが、
恐らく葉に含まれる糖分が
多いからではないかと考えています。
cladocalyx nanaの大きな魅力の一つとして
その果実があります。
このユーカリの実は大きく丈夫で
形も興味深い樽型をしているため、
花材用のガムナッツとしてとても人気があります。
cladocalyx nanaの葉は粉を全く吹かず、
鮮やかな濃い緑色をしています。
良く日光に当てた下葉は少し青白っぽくなりますが、
新しい葉は特に鮮やかな緑色になります。
また葉の裏と表で質感や色に差があり、
表側が濃い緑色であるのに対して、
裏側はかなり白っぽくなることがあります。
葉型はポポラスなどのような
ハート型になることは滅多になく、
主には少しだけ先の尖った丸い葉になります。
ただ葉の大きさはそこまで大ぶりではなく、
元気な株ではたくさんの葉をつけるので、
なかなかに可愛らしい外観になります。
また枝先の方の茎は赤みを帯びる傾向が強く、
緑鮮やかな丸みのある葉と、
赤っぽい茎のコントラストも美しく映えます。
cladocalyx nanaの葉には
葉がお皿のように丸まるという特徴があります。
上の写真を見ていただくとわかりますが、
葉が内側にカールしています。
この特徴は面白い外観を演出してくれますが、
実は少しだけデメリットもあります。
水遣りの際に水をかけたり、雨が降ると、
このお皿のような葉に水が溜ります。
これにより湿気の多い時期には少し葉枯れが出たり、
うどんこ病などの病気が発生することがあります。
どうしても風通しの良い場所が確保できない場合は、
水がかかった後に、少し葉を揺らせて、
余分な水分を落とした方が良いでしょう。
しっかりと日光に当てて育てた株では、
非常にカラッと乾燥した薄く硬い葉になります。
一見すると枯れているのではと思ってしまう程です。
無理に葉を折り曲げるとすぐにパキッと折れてしまいます。
逆に日照不足など、環境がイマイチの場合には、
びっくりするほど柔らかい葉が生成されます。
また新芽部分の葉も他種に比べて非常に柔らかいです。
これらの葉は病害虫に酷く悩まされることになります。
最終的に大きく育ったcladocalyx nanaの葉は、
ユーカリ的な光沢のある鎌状の細葉へと変化します。
精油の含有量が少ないこともあるでしょうが、
cladocalyx nanaは、ユーカリには珍しく
非常に虫害の多いユーカリです。
普通に尺取虫や毛虫がついたり、
ハキリバチなどの被害を激しく受けます。
また先述した通り、
うどんこ病には非常に弱いユーカリで、
我が家のベランダでは、
全ユーカリ中でトップクラスの被害が出ます。
日照の良い実家の庭や知人の御宅の庭でも、
ある程度のうどんこ病が発生していますので、
うどんこ病には特に弱いユーカリであるといえます。
日照や風通しの良い場所では
そこまで深刻になることはありませんが、
ベランダなど、風通しの悪い場所では
時期によって、ある程度の薬剤散布が
必要になることもあります。
cladocalyx nanaの葉は、
鮮やかな緑色の柔らかい葉が多く、
病害虫の影響も激しく、香りもほとんどしません。
私のようにたくさんのユーカリを育てていると、
cladocalyx nanaはあまり
ユーカリっぽくないなあとさえ感じることがあります。
cladocalyx nanaの幹は赤みが強く、
全体的に小さな突起がありザラザラしています。
写真を見ると分かりますが、
形状は丸い部分と角のある部分が混在しています。
柔らかい葉に比べると幹はしっかりしており、
他のユーカリに比べても少し硬めです。
葉のように簡単に折れたりすることもなく、
かなり丈夫で弾力性もあるので安心です。
cladocalyx nanaの育て方についてですが、
乾燥力の強い用土を使用して、
風通しが良く涼しい場所で
良く日光に当てて育てます。
この風通しと日照という環境さえ整えば、
そこまで厄介なユーカリでありません。
cladocalyx nanaの吸水量は、生息地の近い
leucoxylonなどに比べるとかなり少なめで、
albopurpureaなどと同程度かそれ以下です。
ただそこまで水切れに強いユーカリでもありません。
基本的に夏場はほとんど動きがなく、
かなり涼しい季節メインで成長を進めます。
矮性種であるためか、成長はかなり控えめです。
元々過湿には弱い品種ではないのですが、
これに高温が加わると極端に弱くなります。
特に夏場の過湿には非常に弱いところがあり、
保水性の高い用土で栽培している場合、
暑い時間帯に水を与えてしまったりなどすると、
根の蒸れによる急性の根腐れで
いきなり枯れることがあります。
この夏場の過湿への弱さはかなり顕著で、
私も知人の栽培者も何度か経験しています。
夏場は水切れにも注意が必要な季節ですが、
寧ろ水の与えすぎや与える時間こそが
最も気をつける必要のあるポイントになります。
この夏場の枯れを防ぐためには、
乾燥力の高い用土で育てることが重要です。
酸性~弱酸性を好むユーカリが多い中、
cladocalyx nanaは比較的高めのpHを好みます。
基本的には弱酸性~中性程度がベストですが、
非常に高いアルカリ耐性を兼ね備えており、
アルカリ寄りの用土でも生育は良好です。
そのような性質からか、
比較的肥料の効果が出やすいユーカリでもあります。
ただし、多肥すぎるのは厳禁です。
また主に湾岸部に生息しているためか、
cladocalyx nanaは、ユーカリの中でも
かなり高い耐塩性も持っていますので、
海の傍の方でも安心して育てられます。
全く粉を吹くことがなく、
非常に柔らかいcladocalyx nanaの葉は、
昨今の厳しい真夏の日差しでは
少し葉焼けすることもあります。
早い時期から良く日光に当てた、
カラッとした硬い葉の場合は、
心配する程の被害は発生しませんが、
新芽部分やその他の柔らかい葉の場合は、
夏場には酷く葉焼けすることもあるので、
日照が激しすぎる場合には少し遮光が必要です。
真夏は大きな病害虫の影響もないので、
涼しい半日陰程度の場所に移動させるのもありですが、
春と秋と冬には、半日陰以上の日照を確保して、
日光にどんどん当てて成長を促進させてください。
結論として春と秋の病害虫の問題と、
夏場の急性根腐れにさえ気をつければ、
後は問題なく育てられるはずです。
cladocalyx nanaの耐寒性ですが、
あまり強いとはいえません。
地植えの成樹であれば-7℃以上でも大丈夫でしょうが、
樹高の低い鉢植えの株では、
-5℃程度が限界ラインではないかと思います。
余程の寒地か過湿でもない限り、
枯死することは稀でしょうが、
cladocalyx nanaの葉は非常に柔らかいため、
寒風に弱く、風吹きっ晒しの場所に置くと、
葉が激しく傷むことがあります。
主には葉のカールしている部分が真っ赤になり、
周囲に霜焼けの症状が出ることが多いです。
また水遣りの際などに葉に溜った水も、
冬場の葉痛みを引き起こします。
大阪のような暖地でも、
置き場所によっては真っ赤に紅葉して、
葉の周囲が激しく傷むことがあるので、
軒下などで寒風を凌いだ方が良いでしょう。
夏場の過湿に対する弱さとは異なり、
冬場の過湿には決して弱くはありませんが、
乾燥気味に管理した方が耐寒性は高くなります。
冬場は思ったよりも葉が傷むことがありますが、
毎年、春以降の生育が順調な場合は、
あまり気にしなくても大丈夫です。
実はこの記事の写真は昨年の秋頃のものです。
昨年の冬にかなり寒い場所に置いていたところ、
全体的に葉がボロボロになってしまったので、
今年は暖かい場所に置いて養生しています。
上が現在の写真になります。
葉はボロボロになりましたが、
通年の生育状態は決して悪くはありません。
気になるcladocalyx nanaの香りについてですが、
シネオールベースで少し青臭いハーバル系の
スッとした香りがかすかに漂います。
香り自体は決して悪くはないのですが、
かなり強めに葉をクラッシュしないと香らず、
とても香りの弱いユーカリです。
特に乾燥した硬い葉ではほとんど香ることがありません。
精油には面白い成分が入っているはずなのですが、
その含有量が非常に少ないのでしょう。
これが病害虫への弱さにも影響していると思われます。
残念ながら、香りを楽しむユーカリとしての利用は難しいです。
また葉に含まれている青酸配糖体の量が多く、
比較的毒性の強いユーカリであるとの指摘もあるため、
ユーカリ茶としての利用は避けた方が良いでしょう。
cladocalyx nanaは香りこそ楽しめませんが、
緑鮮やかな可愛い丸葉のユーカリが好きな人には
オススメなユーカリの一つです。
特に矮性種であるnanaであれば、
2m以内程度の樹高で
開花を実現できる可能性もあるはずです。
花自体は白い一般的なユーカリの花ですが、
その大きさと数はなかなかのもので、
開花後のガムナッツの収穫も興味深いです。
非常にマイナーなcladocalyx nanaですが、
日本で栽培している農場がありますので、
興味のある方にはご紹介させていただきます。
病害虫に弱く少しデリケートで
ユーカリらしからぬところのあるcladocalyx nanaですが、
逆に様々な在来の植物を育てている方には、
ごく普通の植物として育てられると思います。
ぜひ一度cladocalyx nanaを育ててみて、
その一風変わった特徴を満喫してみてください。
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<栽培難易度:C>
香良さ:★★
香強さ:★
成長力:★★
要水分:★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★
耐暑性:★★
耐病虫:★
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