ユーカリの薫るベランダで[Mobile版]
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ユーカリ育成ブログです。タネを輸入して150種以上のユーカリを育てています。 By eucalyptus_k
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【ユーカリ紹介-17】ユーカリ・クルセアナ (Eucalyptus kruseana)
コメント(4件) 2010/08/21 12:16
カテゴリ:ユーカリ紹介

第17回目にして、ハートリーフ三兄弟以外で
やっとまともな西オーストラリアのユーカリが出てきました。
海外の文献も絶賛! 私も「ユーカリ界の青白い宝石」と一押し、
とにかく美しすぎて毎日眺めてはうっとりしてしまう。
ユーカリ・クルセアナです。

◎ユーカリ・クルセアナ
【学名:Eucalyptus kruseana】
【英名:Bookleaf Mallee / Kruse's Mallee】

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像1

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像2

実は私、kruseanaには早い段階で目を付け、
タネを播いていたのですが、育苗の難易度が非常に高く、
昨年の種播~育苗は一旦断念した次第です。

とにかく、強い直射日光と高い温度が必要になってきます。
特に育苗初期には良く日光に当てて、
丈夫な根を育む必要があります。

我が家のベランダで通常通り育苗していると
日光の量が圧倒的に足りないため、
いつまでたっても大きな葉を作れずに貧弱で小さいままです。

そこでポット数個分だけと非常に限られていますが、
日中に直射日光が常時当たる場所を何とか確保しました。
そこで育苗を行った結果、やっとまともな苗が育ちました。

昨年の育苗を断念したと同時に、
上の写真の苗を親愛なるこあら師匠の農場より購入しました。

以前、ユーカリの葉の白く粉をふいたものは、
オーストラリアの強烈な紫外線を避けるための
日焼け止めの役割を果たしているとご紹介しましたが、
このkruseanaは特に強力な日焼け止めを持っています。

そのため、日本で育てていくためには、
特に強烈な直射日光がフルタイムで必要になります。
上の写真の苗も半日直射日光が当たる環境に置いていますが、
あまり大きく丈夫な新葉を生成できずにいます。

このkruseanaは同居人や実家の親父さえも
地植えしたいというほどの美しさです。

とにかく新芽は完全に白く粉をふいており、
太陽に当ててみるとほぼ純白そのものなのです。
下葉も白に近いエメラルド色で、
まるでユーカリがおしろいを塗ったようです。

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像3

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像4

このkruseanaは育てていくのに何かと都合が良いのです。
まず、余り大きく育たずに茂み状に育つこと、(大きくても2~3m程度)
この美しい丸葉を最後までしっかりとキープすること、
樹高数十センチ程度の鉢植えであっても、ユーカリでは非常に珍しい、
ライムグリーンの花を美しく咲かせてくれるからです。

実家の庭のkruseanaの株では、
実際にわずか60cm程度の株で開花を実現できています。

このライムグリーンの花は中々に美しく、
何よりもとてもたくさん咲くことが特徴です。

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像5

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像6

恐らくこのkruseanaを数年間育て上げることさえできれば、
ほとんどの方がこの花を楽しむことができるはずです。

ただ、このkruseanaには、大きなネックが一つあります。
日本の環境にはあまり合っていないために、
栽培難易度が少し高くなってしまうということです。

kruseanaを過去販売していた業者に問い合わせたところ、
まず、育苗難易度が高く、在庫を多く確保できないこと、
苗を販売しても、うまく育てられない購入者が多いこと、
そもそも健康に育てられる環境を用意すること自体が大変で、
商品として成り立たせるのが難しいというお話でした。

このユーカリは元々、西オーストラリア内陸部の
Kalgoorlieという砂漠の金鉱の町近辺だけに自生する品種です。
それがアメリカなどで切枝用として注目され
園芸品種としてメジャーになったようです。

生息地は年間降雨量200mm程度(大阪の1/8以下)で、
夏期の最高気温は48℃、夜間は8℃程度まで下がり、
冬季の最低気温は-3℃程度とかなり激しい環境です。

気候としてはステップ気候や砂漠気候に属します。
またこの地域は冬季が湿潤で夏季が乾燥しているという
日本とは全く逆の環境にあるのです。

そのため、極度に高温多湿を嫌うこととなり、
雨ざらしでは、梅雨などの季節を乗り越えるのが少し困難になります。

水はけの良い用土で、かなり乾燥気味に管理する必要があります。
育苗で感じたのは、用土に水分が残ることを極端に嫌うようです。
1~3日で完全に用土が乾ききるというのが、
ベストな栽培環境になってくるのかなと思っています。
ところがこの環境を湿潤な日本で作りだすには中々難しいのです。

これを作るためには温室やビニルハウスで専門的に管理するか、
放任主義ではなく、小マメな管理をするしかありません。。。

また、他には、ワンサイズ小さな鉢で管理したり、
土から上だけでなく、鉢にも良く日光に当たるようにすることで、
過湿を避け、高温を好むkruseanaに適した環境を構築できます。

このクラスのユーカリを育てるに当たって、
まず行って欲しいことは、
「ユーカリを毎日必ず観察する」ことです。

毎日、用土や株の状態をしっかりと観察していれば、
よほどのことがない限り、枯らせてしまうことはないでしょう。
逆に植物はほおって置く主義という方には不向きなユーカリです。

成長速度についてはどちらかというとゆっくりな方です。
また、かなり乾燥を好みますが、
そこまで水切れに強いというわけでもなく、
用土が完全に乾いたらたっぷりと水遣りをする必要があります。
この辺りも多肉植物とは違い少し手間のかかるところです。

耐寒性については-5℃くらいと言われています。
ユーカリ中ではあまり強い方とはいえません。
大阪では30cmを超えるような株であれば特に問題はありませんが、
小さな苗については、寒い日は簡易温室などに退避しないと、
新芽などに枯れや痛みがでることがあります。
また、寒い日に葉に水をかけると痛みの出る場合があります。

寒さにあまり強くないからといって、
室内管理は絶対に避けてください。

室内では空気の流れがないため、用土に余分な水分が残りやすく、
過湿で根を痛め、ほぼ100%に近い確率で枯らせてしまいます。
少し寒くても、寒風さえ防げるなら、野外管理が必須です。

また冬季は本当にびっくりするほど水を吸わなくなります。
我が家でもたまにスリット鉢の底のスリットから
少しシャワーで水をかけてあげる程度で、
冬に鉢の表面から水を与えることはまずありません。
ハッキリ言って断水に近いような管理になります。

冬だけでなく、最高気温が30℃に満たなくなってくると
急激に吸水量が減ってくるので注意が必要です。
ここで吸水量の激減を察知できずに、
涼しくなった途端に過湿で枯らせることが多いです。
これはmacrocarpaなどと同様にとても厄介なポイントです。

我が家は日照があまり良くないこともありますが、
基本、最高気温が30℃を切ったくらいから、
鉢の表面からの吸水はストップして、
底面吸水のみに切り替えています。

気になる香りについては、
orbifoliapulverulentaに良く似ています。
シネオールの香りをベースに爽やかな柑橘系の香りがします。
香りの強さは弱くもなく強くもないという程度で、
葉や茎を指で触ると、良く香ります。
非常に爽やかで誰もが好きになれる良い香りです。

とにかくユーカリの中では一押しなのですが、
育てるのが少し面倒でマメな管理が必要になると思います。

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像7

でも、その面倒を受け入れてでも育ててみたくなるユーカリです。
私はこのkruseanaを徹底的に経験し、学んで、
いつか量産できるように密かな野望を持っています。

このkruseanaを育ててみたい方には
素晴らしいユーカリ農場をご紹介しますので
是非、ご連絡をいただければと思います!

------------------------------
<栽培難易度:E>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★

要水分:★★
耐過湿:
耐水切:★★★★
耐日陰:☆
耐移植:★★★
耐寒性:★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★

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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

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