この湿潤な日本で健康に生き抜くためには、
耐寒温度はあくまでも目安でしかありません。
耐寒性を上げるためのもっと重要なポイントが二つあります。
このポイントさえ押さえることができれば、
耐寒温度を遥かに上回る結果を出すこともできます。
例えば親愛なるこあら師匠は
推奨耐寒温度10℃以上、5℃以上の管理必須のバオバブを
-5℃近くにもなる場所で無事に越冬させていらっしゃいます。
私も昨年は耐寒性0℃以上推奨のユーカリの幼苗を
-5℃近い環境で越冬させましたし、
一般的に3℃以上推奨のレモンユーカリも
-5℃になる屋外で越冬させることができました。
では、このポイントとは何なのでしょうか?
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1. 風(空気の動き)のない場所で管理すること
2. 水分管理をよりタイトに乾燥気味に管理すること
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この二つになります。
まず1についてですが、最も簡単な方法では
風の当たりにくい軒下で管理することです。
さらに有効で、葉痛みも防げる方法としては
簡易温室を使用することです。
この簡易温室とは、ホームセンターなどで
2000円程度で販売されているビニール製のものです。
これは加温を行うわけではありませんので、
実際に夜間の内部気温は外の気温とほとんど変わりません。
ところが風をほぼ完全にシャットアウトすることができます。
これだけで、耐寒温度はかなり上がります。
実際に-3℃では枯れのでるdecipiensやstaigerianaや
それらのわずか2cm程度の幼苗でさえも、
全く葉痛みさえすることなく、越冬できています。
簡易温室を使用する場合には下記をご留意ください。
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●日中は必ず扉を開け放っておくこと
●夜間でも3℃を下回らない場合は扉を開け放っておくこと
●気温が3℃を下回らなくなったら温室を片づけること
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冬季でも日照の良い日には、締め切っていると
びっくりするほど高温になることがあります。
また、ずっと締め切りっぱなしだと
室内管理と同じようなことになってしまいます。
場所に問題がなければ、
この簡易温室はとても効果的です。
上記に気をつけて、ぜひ使ってみてください。
次に2についてですが、
夏はたくさん水を吸うようなユーカリも、
温度が下がると、かなり吸水量が落ちてきます。
これは品種にもよりますが
びっくりするほど水を吸わなくなります。
例えばerythrocorysというユーカリがあります。
樹高が70cm程度で6号スリット鉢に植わっています。
夏場は半日陰の場所で二日に一回程度の水遣りをします。
冬季には夏季の倍以上日光が当たるのですが、
水遣りは週に一回以下の頻度にまで低下します。
他にはlehmanniiの場合ですが、
同じく樹高が70cm程度で6号スリット鉢に植わっています。
夏場は半日陰の場所でほぼ一日に一回程度の水遣りをしますが、
冬季には週に一回程度の頻度にまで低下します。
これに気をつけて、
より乾燥気味に管理を行ってください。
冬季は夏季のように急な水切れは起こりません。
私が良く行う管理方法としては、
下記のようなものがあります。
多くのユーカリは水が切れてくると
柔らかくなって、葉先が犬の耳のように
だらんと垂れさがってきます。
このまま放置すると、水切れで葉が枯れますが、
この垂れ下がった状態をサインとして
水遣りを行うことにしています。
ただ、この方法を実践する場合には、
一日一回の観察が欠かせなくなります。
また一部の、葉に厚みのある品種では
垂れさがらずに枯れに移行することもあるので
その当たりは注意が必要です。
最後に樹高が大きくなってくると
自然と耐寒性も上がってきます。
大きすぎて、室内や温室に入らない場合は
なるべく風の当たらない軒下に置くだけでも
耐寒性はかなり変わってきます。
樹高が50cmを超えれば
レモンユーカリでも-5℃くらいでは
葉はボロボロになってしまいますが、
枯死してしまうようなことはありません。
最後に、もし枯らせてしまった場合、
過湿による根のダメージで枯れた場合には
復活の可能性はほとんどありません。
ところが水切れや寒さで枯らせてしまった場合は
春になると復活する可能性が高くなります。
万が一枯らせてしまったと思った場合でも、
春までは捨てずに、管理を続けてみてくださいね。
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