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【品種別栽培ガイド-02】銀世界ユーカリ (Eucalyptus 'Gin-Sekai')
コメント(3件) 2012/10/10 14:56
カテゴリ:品種別栽培ガイド

続きまして第02回目は
銀世界ユーカリです。

◎銀世界ユーカリ
【学名:Eucalyptus pulverulenta
    Eucalyptus pulverulenta 'Baby Blue'】
【英名:Silver-leaved Mountain Gum】

fancyboxギンセカイ(銀世界)(Eucalyptus 'Gin-Sekai')の画像1

【品種情報】
最高樹高:6~10m前後
樹形:Mallee(灌木)型
親葉への変化:大きさは変化するが丸葉を終生キープ
適合pH:酸性~弱アルカリ性(4.5-8.8)


【生息地情報】
地域:New South Wales(ブルー・マウンテンズ国立公園)
夏季最高気温:最高値39℃、平均値27℃
夏季最低気温:最低値0℃、平均値11℃
冬季最高気温:最高値20℃、平均値11℃
冬季最低気温:最低値-12℃、平均値-3℃
年間降水量:700~850mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm


【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度ではかなりパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いといつまでも小さな葉のままで貧弱になります。
屋内管理は完全不可。

・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはかなり水好きな方です。

・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。

・鉢
あまり問いませんが、根張りがデリケートなので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが異様に低下します。
この品種には必ず縦長の鉢を使用しましょう。

・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。

・植え替え
根がデリケートなので、植え替え時は注意してください。
初心者は絶対に根鉢を崩さないようにします。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。

・寄せ植え
根が細かくデリケートで、植え分けが不可能になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。

・病虫害
葉が硬いのであまりうどんこ病の被害は出ませんが、
Baby Blueの方は、うどんこ病が酷くなることもあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害が激しくなります。
特にBaby Blueハダニの被害が深刻な品種の一つです。
精油のシネオールが強いのでその他虫害はほとんどありません。

・地植え
地植えすると本来のパフォーマンスが出て、
かなり激しい成長力を発揮します。
普通に育てると、すぐに数メートルに成長します。
また、横にも広がり、特異な樹形を形作ります。
サイズ的には庭木としても十分可能です。

・耐寒性
地植えの成樹で-15℃と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
かなり耐寒性の強いユーカリなので、
寒地でも屋外越冬も見込めるでしょう。
葉が硬いので、寒風にも強いです。
Baby Blueの方は-8℃とかなり耐寒性は落ちますが、
暖地での越冬は全く問題ありません。

・成長力
環境さえ合えば、成長は結構激しくなりますが、
鉢植えにすると極端にパフォーマンスが落ちます。
それでも1年で40~50cmは十分に成長します。
Baby Blueの方の成長はかなり遅めです。
数年で1mに届かないこともあるくらいです。

・開花
原種で150cm程度、Baby Blueであれば、
1m以内の樹高があれば、開花が見込めるようです。
花は、白に近いクリーム色の花が咲きます。
葉のサイズの割に思ったより小さな花です。
蕾や実も白く粉を吹いており、美しい外観をしています。
地植えをすれば早い段階での開花が見込めるでしょう。

・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。


【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
日照が悪いと、ほとんど成長が進みません。
Baby Blueは特に病気がちになります。

・夏
最も枯らせることが多い時期。
冷涼な気候出身のユーカリなので、
日本の高温多湿な夏は少し苦手です。
Baby Blueは特に高温障害が出やすく、
涼しい半日陰に退避するか、
少し遮光を行った方が良い場合もあります。
色素が抜けて、斑点ができた場合は
湿度過多・高温障害のサインです。
過湿による根の蒸れにも十分に注意します。
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
Baby Blueは少し葉焼けすることもあります。
夏場はかなり成長が控え目になります。

・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
少々の寒地では紅葉するようなこともなく、
葉痛みもほとんどなしで、とても力強い季節です。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。


【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
逆に日光が足りないとかなり難しい植物になります。
cinereagunniiよりも遥かに日光を欲します。

原種の方は、余程のことがない限り、
高温障害が出ることはありませんが、
Baby Blueの方は暑さ(高温多湿)にかなり弱く、
夏場はある程度、葉が傷むことは仕方ありません。
どちらかというと冷涼な地域の方が向いているユーカリです。

あまり大阪や関東の暖地には合っていない印象で、
東北や長野などの涼しい地域の方が向いていると思います。
ただ、原種の方は、特に問題なく育てることができます。
原種は、終日直射日光にふんだんに当てると、
とても大きな葉で元気な株になります。
一方、Baby Blueは小型の園芸品種なので、
成長は遅くなりますが、それが寧ろメリットにもなります。

この手の銀丸葉系のユーカリは
どれも根張りがデリケートなため、
鉢植えではどうしてもパフォーマンスが悪くなります。
特にこの鉢植えでのパフォーマンス低下が顕著な品種です。
鉢植えの場合は、いつまでもヒョロヒョロで
支柱なしではなかなか自立しないことが多いです。

また、性質上、真上に真っ直ぐに伸びてくれることはなく、
幹から90度の角度にどんどん脇芽を出していきます。
真っ直ぐに仕立てるには、かなり無理のある矯正が必要です。

過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。

Baby Blueは原種に比べると少し難易度が高く、
デリケートな部分が多くなっていますが、
過湿に対する耐性がかなり高いところは変わりません。


※情報は適宜追加・変更します。

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